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韓国原子力学会、脱原子力政策の見直しを要求する声明文を発表

2018年8月13日

韓国原子力学会は7月9日、政権が推し進める性急な脱原子力政策は、原子力サプライチェーンの崩壊を招くだけでなく、電気料金の上昇により、半導体、ディスプレイ等、韓国企業が強みを有する電力多消費産業への大打撃も憂慮されると指摘し、政府の誤った脱原子力政策が、国民の血税の浪費と政治的な混乱をもたらす結果とならぬよう、一刻も早く、国家のエネルギー政策に対する論理的で科学的な再検討が必要だと主張する声明文を発表した。
       
この声明文で原子力学会は、政府および国会に対し、具体的に以下の4項目を要請した。


・政府は、韓国のエネルギーの特性を踏まえた、未来志向のエネルギー需給計画の再検討のため、国民による討論の場を設けよ

・政府は、韓国水力原子力(KHNP)の取締役会決議により白紙化された新設計画は復活させよ

・政府は、国内の原子力産業サプライチェーンの維持に直結する輸出プロジェクト実現のため、まずはサウジアラビア原子力発電所プロジェクト受注に向けて最大限の支援と努力を傾けよ

・国会は、需要者、エネルギー専門家を参加させたエネルギー関連委員会を構成し、電力エネルギー問題を政府任せにせず、現実的で合理的な政策運営がなされるよう努力せよ


現政権が国内での脱原子力政策のペースを緩める気配はなく、原子力学会をはじめとする原子力業界側からは、今回の声明も含めて、根強い反対の主張が続いてきた。
そんな中で、輸出については、政府と業界の足並みはそろっている。

原子力学会による要請項目に言及されているサウジアラビアは、2032年までに16基(1,760万kW)の原子炉を建設する計画を明らかにしており、韓国はこの計画への参入を目指している。韓国電力公社(KEPCO)などによれば、2018年7月初にサウジアラビア政府は、韓国を含む5カ国の原子力技術ベンダーを商用炉新設プロジェクトの応札可能者に選定し、今後具体的交渉を行うこととなった模様である。

こうしたサウジアラビア側の動きを受け、韓国政府も、官民共同による受注支援センターを設置することを発表した。支援センターの参加企業はKEPCOのほかKHNP、斗山重工業のほか、建設会社、金融機関などである。支援センターはサウジアラビア側との実務協議の窓口となり、サウジアラビア側の要求事項の分析や、関係者間の情報共有、入札書作成対応などを行うとされている。

政府は国内での脱原子力政策への転換に対する激変緩和の意味でも、輸出については国益にかなうなら政府を挙げて推進する方針を、かねてより掲げてきている。実際、今般の原子力学会による輸出支援強化要請を先取りするかのようにサウジ輸出支援センターの設置が政府から発表されており、国内で脱原子力を掲げつつ、輸出には積極的な韓国の姿が、改めて浮き彫りになった形である。


出典:韓国原子力学会、韓国電力公社(KEPCO)、産業通商資源部(MOTIE)ウェブサイト他

 

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