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[英国] 政府諮問WGが小規模原子力プログラムへの政府支援の必要性を提言
2018年8月23日
英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が今年1月に設立した財政専門家ワーキング・グループ(EFWG)が、8月7日付けで、「小規模原子力の資金調達のための市場の枠組み」と題する報告書を公表した。
同WGは、昨年12月に、R.ハリントンエネルギー担当相が発表した小型モジュール炉(SMR)など次世代の新型原子炉プログラム開発で英国が世界のリーダー的地位を獲得するための包括的原子力産業支援方策の一環として設けられたもの。
以来、政府とは独立した立場で小型原子炉プロジェクトの商業展開を可能にする民間投資を加速化するための提言をまとめてきた。
報告書では、小規模原子力プロジェクトの規模を、マイクロ発電から60万kWに、コストの範囲は1億ポンドから25億ポンドに設定している。
同WGの座長を務めたF.ライリー氏は、報告書の序文で「世界的な経済活動や小型原子炉への関心が高まっているにもかかわらず、民間からの資金調達を確保するには、これまでの技術やプロジェクトを商業的に成功することへの市場の失敗への懸念が残っている。」と述べた。
そのため、EFWGでは、「市場の枠組みについて提言を作成するにあたり、小型原子炉に関連するリスクを徹底的に見直し、どのようなリスクを最も適切に管理できるか、リスクの結果ならびにその結果についても、どのように管理できるかについて考慮している」と付言した。
報告書は、提言策定までの分析結果などについて全80ページにわたって詳細に記載。
提言は7項目が挙げられている。
提言のなかで、英国政府に対して、小規模な原子力プロジェクトが活気ある市場となることを支援するためには、エネルギー政策の明確化や、市場主導型の開発展開の地位を保たせること。
BEISの原子力イノベーションプログラムやイノベーション助成金などを通じての小規模原子力技術を実用化するための目標スキルの設定と能力開発の遂行。
これらのプロジェクトに関連するリスクの共通認識を深めるためにエネルギー、原子力、金融分野のステークホルダーとの連携。
さらには、他の低炭素エネルギープロジェクトとの平等な競合の場を可能にするため、これまで投資の障壁となっていたリスクへの認識を取り除くことなどが挙げられている。
その他、英国政府がこれまで特に洋上風力発電で行ってきた先進的なサプライチェーンイニシアチブを確立すること。
最適化された柔軟なアプローチを達成するための規制プロセスの見直しなどのために、規制庁(ONR)や環境庁(EA)との連携が必要であること。
また、2030年までに商業展開が見通せる技術については、英国政府が初期投資を低減し、リスクを分担することに注力すべきとしている。
その方策としては、政府が資金提供しての新たなインフラ基金、あるいは直接投資や政府保証を通じた資金調達などの支援が考えられるとしている。
また、差異契約(CfD)、電力購入契約(PPA)および規制対象資産ベース(RAB)についても示唆している。
原子力産業界、報告書を歓迎
英国原子力産業協会のP.ハスラム政策担当責任者は 「この報告書は、小型原子炉が既存の原子力計画が経済的に実行可能な付加価値をもつ可能性を秘めていることを示している。また、小型原子炉が消費者に価値をもたらすだけでなく、英国のエンジニアリング企業やサプライチェーンの拡大に大きな利益をもたらし、収益性の高い輸出市場を創出する可能性も秘めている」と述べた。
さらに、同氏は、「小型原子炉がコスト競争力を発揮できるかどうかを明らかにし、金融部門がこれを認識することを望む。小型炉は、気候変動に対処しながらエネルギー安全保障を強化する上で、大きく貢献するもので、政府ができるだけ早く勧告を実施に移すことを希望する」と述べた。
世界原子力協会(WNA)のA.リーシング事務局長は「2050年までに世界の電力の25%を供給する原子力発電の目標に貢献できるSMRの開発を支持するこの報告を歓迎する」と述べた。
また、「SMRが他の低炭素発電と競合することを可能にする市場アプローチが必要であり、規制プロセスが最適化された柔軟なアプローチを採用する必要があるという報告書の指摘は、世界の原子力産業界が主張するハーモニープログラムによっても認識されているように、緊急に必要とされている改革である」と付け加えた。
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
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