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米国で2例目、原子力発電80年運転に向けた運転認可延長申請

2018年8月27日

   米原子力規制委員会(NRC)は7月10日、ピーチボトム2・3号機(BWR、各130万kW)の2度目となる20年間の運転認可更新(SLR)の申請書を受領した。二度目のSLR申請は、2018年1月に米国初として提出していたターキーポイント3・4号機(PWR、各80万kW)に次ぐ2例目となる。

   米国においては、1954年に原子力発電所の運転期間(最初の認可期間)を40年と原子力法で定めているが、これは原子力技術の制限によるものではなく、経済性と独占禁止の点から決められたものである。通常、40年であれば電気料金によって費用回収が完了するからであり、その期間は安全性、技術面あるいは環境面に基づいたものではない。NRCに運転認可の更新を申請・承認されることで、1回の運転認可の更新につき20年間の運転期間が延長可能となる。この運転認可の更新申請回数は制限が設けられていないため、60年以上の運転も可能となる。今回のピーチボトム2・3号機においてもSLR申請がNRCに承認されれば、計80年間の運転が可能になる。

   現在、米国では図 1に示すように、99基の商用原子炉が運転中であるが、このうち60年の運転認可更新済の原子炉は全体の87%(86基)にのぼり、7%(7基)は申請中の状況にある。

   80年運転を見据えたSLR申請は表 1に示すように、サリー1・2号機(PWR、各83万kW)やノースアナ1・2号機(PWR、各94万kW)がそれぞれ2019年1~3月、2020年10~12月にNRCへSLR申請を行う予定であることを表明している。なお、2018年1月に米国で初めてSLR申請を行ったターキーポイント3・4号機のNRCによる審査は既に開始されており、SLR更新概要に関する公開会議などが終了し、今後、補足環境影響評価書(SEIS)の発行などに向けた会議などが開催される見込みである。NRCによると、スムーズな審査が行われれば、2019年10月にはSLR申請が承認される見通しである。

   運転認可の更新申請に関しては、米国は運転認可が失効する20年前からの申請が可能であり、NRC規則では運転認可期限の5年前までに更新申請したプラントは、審査期間中であれば、その間に運転認可期限が切れていていたとしても、運転継続が可能である。これに加え、SLR申請に向けては、米原子力協会(NEI)が2015年にSLR申請に関するロードマップを作成するなどして運転認可が切れるリスクを回避するために余裕を持った戦略を示している。なお、日本の運転期間延長認可の申請手続きについては、運転認可が失効する1年前としている。

   今回、SLR申請したピーチボトム2・3号機を所有する米エクセロン社は、SLRを申請することで、雇用や給与、ゼロ・エミッションなどでの地元・地域社会への支援と、これまでの優れた原子炉の運用を継続するとコメントしている。

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