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[カナダ] 運転期間延長のための大型機器取替プロジェクト試験施設が開所式

2018年10月12日

カナダ・オンタリオ州でブルース原子力発電所を運転するブルース・パワー(BP)社は、2020から本格着手する運転期間延長事業のための大型機器取替(MCR)プロジェクトの総合試験施設の開所式を9月12日に行ったと発表した。
 

©BP社

この施設は、オンタリオ州の機器メーカーであるオートメーション・ツーリング・システム(ATS)社が開発、同社のケンブリッジ敷地内に立地している。
BP社とATS社のウェブサイトで公開している情報によると、今回の施設はMCRプログラムの一環で、運転延長のための主要コンポーネント機器取替、つまり燃料チャネル、蒸気発生器やカランドリア管などの照射された原子炉部品を取り除くために必要な作業を自動化して行うことを、本格的なシミュレーション環境で確実に動作するかの試験を行うもの。
主要コンポーネントの取り外しには、複雑な工程が必要となるが、すべてを高度に自動化、遠隔操作を可能とし、作業の安全性を最大限に高め、運用を最適化するように設計されており、BP社のMCRプログラムをサポートするうえで重要な役割を担うことになるという。
カナダでは数年前まで、ダーリントン原子力発電所で2基、ブルース原子力発電所で4基の増設計画、さらにオンタリオ州ナンティコックとアルバータ州ピースリバーでの新規建設計画があった。
これらは現在中止され、既存の原子力発電設備の最大限有効活用を行う方針がとられている。
BP社は、ブルース原子力発電所で8基のCANDU900炉(90万kW級加圧重水炉)を運転しており、すでに1977年に運開した1、2号機は、BP社が2005年にオンタリオ州政府と締結した「ブルース・パワー改修実施契約(BPRIA)」に基づき、改修工事を終え、2012年に運転を再開した。
オンタリオ州では、州内の総電力需要量の30%以上を原子力で賄っており、2013年に州政府が作成した長期エネルギー計画「LTEP」に合わせて、BP社は数十年にわたってクリーンで信頼性が高く、価格安定性もある電源を増加していくための運転期間延長投資を継続実施しているところである。
また、2016年1月には、同州の電力卸売市場運営機関(IESO)との契約内容を修正し、運転期間延長を目的としたブルース発電所3号機から8号機合計6基の長期改修工事のための投資プログラム、総投資額130億カナダドル(約1兆1193億円)がスタートした。
今回のMCR関連施設設置も、これらに伴う動きで、実際の取替作業は、6号機で2020年に開始され、順次3号機から8号機まで16年間継続し、BP社の原子炉は最終的には2064年まで安全に運転継続することが可能になるとしている。
(参照情報:BP社およびATS社ウェブサイト、原子力産業新聞海外ニュースほか)

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