海外電力関連 トピックス情報
[フランス] フラマトム社、2019年に事故耐性燃料棒を米発電所に装荷
2018年10月16日
仏国のフラマトム社は9月19日、開発中の事故耐性燃料(ATF)の先行燃料棒を2019年秋にも、米国のアーカンソー・ニュークリア・ワン原子力発電所(=写真)1号機(PWR、88.8万kW)に試験装荷することで、事業者のエンタジー社と契約を結んだと発表した。
©エンタジー社
既存の合金製燃料被覆材にクロムをコーティングするという同社の技術により、高温時の燃料の酸化耐性を改善するとともに、事故の状況下における水素発生量を削減、通常運転時の摩耗耐性なども向上させることができると説明。
この開発は、米エネルギー省(DOE)が2012年に開始した「改良型ATF開発プログラム(EATF)」の下で行われていることから、同社はDOEの支援により、同技術を2023年にも実展開していくという当初目標の達成も可能になったと述べた。
原子力発電所の安全性をさらに高めるとともに、原子力技術の一層の進展も図られるとしている。
DOEのATF開発支援は、2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に始まった。
炉内で冷却機能が失われた場合でも長時間持ちこたえ、発電所の安全裕度を拡大させる高性能の燃料開発を目指している。
目標としては、2022年までにATFの先行燃料集合体を商業炉に装荷、2025年までに市場に供給を掲げており、産業界からはフラマトム社のほかに、GE社と日立の合弁企業であるグローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)社、ウェスチングハウス(WH)社の3グループが協力。
技術的な設計目標としては、事故時の水素発生量削減、核分裂生成物の保持、高温蒸気と被覆材の反応改善などを挙げている。
フラマトム社によると、同社のATF開発はDOEの支援プログラムに加えて、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)やフランス電力(EDF)、スイスのゲスゲン原子力発電所といった欧州のパートナーとも協力して進めてきた。
開発チームは原子燃料技術の研究開発と進展で数十年にわたる経験を有しており、同社が設計するATFは通常運転時の燃料性能を向上させるだけでなく、緊急時においても十分な対応時間を運転員に与えることになるとした。
また、2014年以降はフラマトム社の経験豊富な専門家が、電気事業者や米仏の国立研究所、大学、世界中の産業機関から集積した情報や能力、専門的知見を元に、同社独自のプログラムを着々と進めていると説明した。
エンタジー社でエンジニアリングと技術サービスを担当する上級副社長は、「低コストでCO2を出さない発電を安全に行いつつ、良好な運転実績を維持することは当社の中心的目標」と指摘。
その上で、クロムをコーティングした燃料棒は燃料に対する顧客の信頼性を向上させるだけでなく、産業界にとっても重要な技術の進展を促すものだと強調している。
【参照情報】フラマトム社発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月20日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」、ほか。
©エンタジー社
既存の合金製燃料被覆材にクロムをコーティングするという同社の技術により、高温時の燃料の酸化耐性を改善するとともに、事故の状況下における水素発生量を削減、通常運転時の摩耗耐性なども向上させることができると説明。
この開発は、米エネルギー省(DOE)が2012年に開始した「改良型ATF開発プログラム(EATF)」の下で行われていることから、同社はDOEの支援により、同技術を2023年にも実展開していくという当初目標の達成も可能になったと述べた。
原子力発電所の安全性をさらに高めるとともに、原子力技術の一層の進展も図られるとしている。
DOEのATF開発支援は、2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に始まった。
炉内で冷却機能が失われた場合でも長時間持ちこたえ、発電所の安全裕度を拡大させる高性能の燃料開発を目指している。
目標としては、2022年までにATFの先行燃料集合体を商業炉に装荷、2025年までに市場に供給を掲げており、産業界からはフラマトム社のほかに、GE社と日立の合弁企業であるグローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)社、ウェスチングハウス(WH)社の3グループが協力。
技術的な設計目標としては、事故時の水素発生量削減、核分裂生成物の保持、高温蒸気と被覆材の反応改善などを挙げている。
フラマトム社によると、同社のATF開発はDOEの支援プログラムに加えて、仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)やフランス電力(EDF)、スイスのゲスゲン原子力発電所といった欧州のパートナーとも協力して進めてきた。
開発チームは原子燃料技術の研究開発と進展で数十年にわたる経験を有しており、同社が設計するATFは通常運転時の燃料性能を向上させるだけでなく、緊急時においても十分な対応時間を運転員に与えることになるとした。
また、2014年以降はフラマトム社の経験豊富な専門家が、電気事業者や米仏の国立研究所、大学、世界中の産業機関から集積した情報や能力、専門的知見を元に、同社独自のプログラムを着々と進めていると説明した。
エンタジー社でエンジニアリングと技術サービスを担当する上級副社長は、「低コストでCO2を出さない発電を安全に行いつつ、良好な運転実績を維持することは当社の中心的目標」と指摘。
その上で、クロムをコーティングした燃料棒は燃料に対する顧客の信頼性を向上させるだけでなく、産業界にとっても重要な技術の進展を促すものだと強調している。
【参照情報】フラマトム社発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月20日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」、ほか。
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
<参考>[米国]米エネ省が国立研でフラマトム社製・事故耐性燃料を試験(2018年7月12日)
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