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[米国] Google、カーボンフリー電源の選択肢として原子力発電を位置づけ

2018年11月7日

2018年10月、米Googleは、同社のデータセンターが調達する電力を24時間365日、100%カーボンフリー電源から調達することについて、その進捗の確認と考察を行った報告書を発表した。

   同社は、100%再エネ電源調達に取り組む企業が集結し、再エネの需要と供給を大幅に増やすための協調的なグローバルイニシアチブである「RE100」に加盟している。
   2017年には世界中に存在する同社のオフィスやデータセンターの年間消費電力量に相当する電力を再エネ電源から調達(再生可能エネルギークレジット(REC)プログラム等に代表されるクリーンエネルギー証書の購入等を含む)したとして、RE100の目標達成を宣言していた。ただし実際のところ、再エネ電力の供給が不足する場合などは、その不足分を非再エネ電源由来の電力を使用している。したがって、非再エネ電力の消費分を、クリーンエネルギー証書等を含む再エネ電力クレジットの大量購入で相殺しているに過ぎなかった。
   今回Googleがいう、24時間365日100%カーボンフリー電源という目標は、24時間365日すべての時点で調達する電力の100%をカーボンフリー電源から調達するというものである。RE100の再エネ電源の基準には原子力は含まれていないが、Googleは、今回の目標に向けて、「カーボンフリー電源」として原子力を含めるという考え方を示している。

   同報告書では、各国に存在する同社のデータセンターの電力調達について、時間当たりの調達電源別比率や、データセンターの立地する地域で調達可能なカーボンフリー電源の種類、調達可能性等を分析することで、24時間365日100%カーボンフリー電源調達(以下、「100%カーボンフリー化」という)とする目標との乖離要因を考察している。
   長期的に電力を蓄えられる蓄電技術が存在しない以上、単一の再エネ電源だけではデータセンターの電力需要の変動に応じた電力需給は難しいとして、目標の達成のためには、カーボンフリー電源の多様なポートフォリオの構築が必要だとしている。
   また、データセンターの中で、100%カーボンフリー化の目標に到達しつつ近づきつつある箇所については、原子力や水力といったカーボンフリー電源が十分量存在していることも要因であるとし、政府や事業者等はこれら既存のカーボンフリー電源の閉鎖について慎重に検討する必要があると言及している。

   結論としてGoogleは、全世界においてカーボンフリー電源を調達できるよう電力市場改革等に自らが貢献するとともに、蓄電技術や先進原子炉、炭素固定技術等カーボンフリー電源の調達を加速させる技術の展開・開発が必要との姿勢を示した。

   なお、関連する動きとして、米国原子力協会(NEI)は、2018年8月に、2020年末までに温室効果ガスの排出量を75%削減すると発表した米Facebookに対して、「原子力を目標達成のための選択肢の一つとすべき」とするメッセージを発している。

   さらに、カーボンフリー電源としての原子力発電への投資の活性化につながり得る動きもある。Googleが先進原子炉開発の必要性にも言及していることはもとより、2018年3月に開催された我が国の高速炉開発会議戦略ワーキンググループにおいて米DOE次官補代理が、「米国のあるデータセンターが、マイクロリアクター(10MWe程度の出力の小型原子炉)を主要電源として用い、既存の電力網をバックアップ電源として活用したいと言っている。これは5~7年程度で実用化する可能性がある。」といった発言をしている。

以上

 

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