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[米国] ハワイ大学、ビットコインの普及により地球温暖化が加速するとの研究結果を発表

2018年11月27日

   ハワイ大学は10月29日、ビットコインの普及により、電力消費が増大し、結果的に地球温暖化が進行するとした研究結果を発表した。

   ビットコインとはいわゆる「仮想通貨」と呼ばれる電子通貨の一種である。一般の通貨と異なり、ビットコインには発行や流通を管理する管理者がおらず、管理業務は不特定多数の人間によって実施されており、この管理業務への参加の報酬として、ビットコインの新規の発行、取引手数料の分配が行われている。この、管理業務は「マイニング:Mining(採掘)」と呼ばれており、この管理業務の根幹を支えているシステムがブロックチェーンと呼ばれる分散型ネットワークシステムである。

   このビットコインのマイニングでは、ネットワーク上に分散され保存されている取引記録と新規の取引との整合性を確認し、記録する作業が発生する。この作業を支えるのがブロックチェーンと呼ばれる分散型ネットワークによる台帳管理技術である。これらの技術を駆使したビットコイン管理には、計算機による膨大な計算が必要となることから、大量の電力を消費してしまうという特徴がある。
   英国PowerCompare社の研究によれば、2017年のビットコインによる年間総電力消費量は29.05 TWhと推定されており、これはアイルランドやナイジェリア等を含む、159か国における、各国の年間電力消費量よりも大きいとされている。

   今回、ハワイ大学マノア校の研究チームは、ビットコインのマイニングで使用される計算機のエネルギー効率、マイニングを実施する(計算機が設置される)可能性が高い地理的な位置、およびそれらの国における発電によるCO2排出量などの情報を分析した。この分析結果から、2017年におけるビットコインマイニングによるCO2排出量は、6,900万tにのぼると推定した。日本のCO2排出量は2016年実績で約13億tであり、ビットコインによるCO2排出量は日本の年間排出量の約5%に匹敵する。

   研究チームによれば、ビットコインが既存の他の技術(インターネットや食洗器等)の普及速度と比較して最も遅いケースであっても、地球を2℃以上温めるのに22年しかかからないとしている。なお、平均的な速度で普及が進んだ場合は、2℃上昇に至るにはさらに6年短縮され、16年で到達するとしている。

   現在、日本を含む世界では、現在開催中のCOP24をはじめ、再エネや原子力の利用を通じCO2排出量の削減に取り組んでいる。研究チームは、「気候変動の要因は、輸送、居住、食品等からの温室効果ガスの排出がメインであったが、ビットコインもこの中の一つになるだろう」との見解を示している。
   ビットコイン等の管理に利用されるブロックチェーン技術の普及により、電力需要の増加が見込まれる中、CO2の排出量を削減し地球温暖化を抑制するため、今後、再生可能エネルギーや原子力等の低炭素電源の更なる活用が求められる。

以上

 

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