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[米国] 規制委、サリー1、2号機で80年運転するための申請書を受理

2019年1月11日

米原子力規制委員会(NRC)は12月10日、ドミニオン・エナジー社が今年10月にサリー原子力発電所1、2号機(87.5万kWのPWR×2基)について提出していた2回目の運転期間延長申請書を受理したと発表した。
45日間の初期審査で同申請書に不足部分がないことを認めたもので、NRCは今後、18か月~22か月間をかけて、運転開始後から合計80年間の稼働を申請する文書を安全性と環境影響の両面にわたって審査する。
NRCはすでに今年4月と8月、ターキーポイント3、4号機およびピーチボトム2、3号機についてそれぞれ、同様の運転期間延長申請を受け入れて審査を開始。
今回も10日付の連邦官報に、運転期間の延長で影響を受ける可能性のある人々から、公聴会の開催要請や請願を受け付けるための告知を掲載している。
サリー1、2号機については2003年3月に最初の運転期間申請が承認されており、現在認められている運転期間は当初の40年に20年を加えた2032年と2033年まで。
2回目の申請が承認されれば両炉の運転期間はさらに20年間延長され、それぞれ、2052年5月と2053年1月までということになる。
同社はこのほか、同じバージニア州内にあるノースアナ1、2号機(90万kW級PWR×2基)についても、2回目の運転期間延長を2020年に申請する計画であるとNRCに連絡済み。
運転期間の延長に備えた両発電所のアップグレードには、最大40億ドルの投資が見込まれるとしている。
米国では近年、巨額の初期投資を必要とする大型原子力発電所の新規建設計画が一段落し、既存の商業炉で運転期間の延長を申請する動きが顕著になっている。
NRCのウェブサイトによると、原子力発電所で運転開始当初に許されている40年という運転期間は、原子力技術に対する制限ではなく、経済性と独占禁止の観点から決められたもの。
NRCは約100基の既存炉のうち、これまでに91基(うち3基は早期閉鎖済み)について初回の運転期間延長申請を承認し、合計60年間の稼働を許可している。
2回目の運転期間延長についても、申請書を提出する可能性のあることが2015年以降、事業者から伝えられるようになったが、NRCは既存炉の運転認可更新については、60年~80年までの期間をカバーすることが適切と判断。
この期間中、機器の経年劣化をどのように管理するかについて、事業者とNRCスタッフの双方に新たなガイダンス文書が必要と考え、2017年7月までに2種類の文書を準備した。
1つは「2回目以降の運転認可更新に向けた一般的な経年劣化の教訓(GALL-SLR)」と題する報告書で、原子力発電所を60年~80年間運転する際に必要となる経年劣化管理プログラムと、それに対するNRCの一般的な評価を網羅。
このほか、2回目以降の運転認可更新で、事業者が申請書を作成する上で必要なガイダンスを提供している。
もう1つは「2回目以降の認可更新申請書を審査する際の標準的審査プラン(SRP-SLR)」で、これは審査を担当するNRCの専門家が対象となる。
このガイダンスを通じて、NRCは高品質で均一な審査を保証。
また、60年~80年の間に申請者が実施する活動やプログラムについて、NRCが評価を下す際の基準を明確に示したとしている。
(参照資料:NRCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか) 

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