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[米国] エネ省の先進的原子力技術研究開発支援、WH社製SMRも対象に
2019年5月7日
米エネルギー省(DOE)は3月27日に、先進的な原子力技術の研究開発に対する支援の第4弾として、新たに約1,900万ドルを拠出すると発表した。
支援対象に選定されたプロジェクト4件のうち、1件はウェスチングハウス(WH)社製の小型モジュール炉(SMR)「eVinci」関係。
同プロジェクトで計上された経費2,855万ドルのうち、DOEが約1,300万ドルを支援し、実証ユニットに関する様々な準備を進めるとしている。
今回の資金提供は、DOE原子力局(NE)が提示した「財政支援条件の告示(FOA)」に対して、申請のあった産業界のプロジェクトが対象。
先進的原子力技術の研究開発を、官民のコスト分担で進めるというイニシアチブの一環である。
2018年4月に最初の選定プロジェクトが公表されたのに続き、同年7月と11月に第2弾と第3弾の結果が明らかにされた。
DOEがFOAで拠出する4回分の支援総額は約1億1,700万ドルにのぼっているが、DOEとしては今後も4年以上にわたり、申請されたプロジェクトの四半期毎の審査など、選定プロセスを継続する方針である。
FOAを通じた財政支援の条件は3種類設定されており、1つは「新型原子炉設計の初号機(FOAK)開発を目指す大規模な実証準備プロジェクト」であること。
2つ目は、「新型原子炉の設計や技術を商業化したり、最良のものに改良する可能性のある広範な概念やアイデア」が対象で、3つ目としては「新型原子炉の設計認証や認可取得など、設計に関する規制上の課題」に対して、直接、解決のための支援が提供されることになる。
WH社の「eVinci」プロジェクトは、1つ目の条件枠で支援対象に選定されたもので、開発チームは2022年までに実証ユニットを製造・立地するための、設計活動や分析・試験、許認可活動などを進めていく。
「eVinci」は遠隔地や北極圏の鉱山における熱電併給を目的とした極小原子炉設計で、WH社の説明によると10年以上燃料交換することなく運転することが可能。
電気出力は最大2.5万kWで、既存の商業炉と異なり、冷却材や所内電力の喪失事故、制御棒の抜け等により炉心に正の反応度が加えられることを回避できる。
WH社としては、2024年までに「eVinci」の商業炉建設を目指している。
なお、DOEではこのほか、エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が3月22日、高性能熱交換器と高温機器に関する新技術の開発プロジェクト18件を選定し、総額3,600万ドルを拠出すると発表した。
熱交換器は原子炉のみならず、その他の発電や輸送、石油化学プラントなど様々な分野で適用されている。
DOEは、超臨界CO2サイクル発電用に高性能のコンパクト熱交換器を設計・製造、試験するというオハイオ州立大学のプロジェクトに150万ドルを提供。
同プロジェクトで開発予定のシステムであれば、SMRや太陽光発電にも適用可能だと説明している。
(参照資料:エネルギー省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、WNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
WH社の「eVinci」設計
©WH社
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
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