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[米国] GEH社のSMR設計でカナダの許認可申請前設計審査開始
2019年7月12日
米国のGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社は5月22日、独自に開発している出力30万kWの小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」について、今年3月にカナダで申請していた許認可申請前ベンダー設計審査が始まったと発表した。
同審査はカナダ原子力安全委員会(CNSC)が提供する任意の評価サービスで、GEH社が米国内で建設・運転一括認可(COL)等の申請を行う前に、当該設計がカナダの規制要件を満たしているかについて要請したもの。
設計プロセスの中でレベルの高い審査を受けることにより、問題点等を早い段階でフィードバックすることが可能になる。
GEH社のJ.ボール原子力プラント・プロジェクト担当副社長は、「BWRX-300は、コンバインドサイクル・ガス発電(GTCC)や再生可能エネルギーに対しても、コスト競争力のあるSMR設計を目指している」とコメント。
ベンダー設計審査は、同社の画期的な技術を商業化に導く重要ステップであるとの認識を示している。
同審査は通常、(1)カナダの規制要件への適合性、(2)認可の発給を阻む可能性がある根本的障害、(3)フォローアップ――の3段階に分けて評価が行われる。
「BWRX-300」の場合は、最初から(2)の評価を申請しており、その作業の枠内で(1)の評価も盛り込む計画。
カナダの新設許認可プロセスにおいて障害となり得る部分を特定するとともに、解決策への道筋も確保することになる。
同社の発表によると、「BWRX-300」の設計は2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証を受けた150万kWの第3世代+(プラス)設計「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」がベース。
設計の大幅な簡素化により経済性が改善され、1MWあたりの資本コストは、既存の大型原子炉やほかの軽水冷却式SMRとの比較で最大60%の低減を目標としている。
ESBWR設計を参照したことにより、「BWRX-300」では実証済みの技術を用いた機器や設計を簡素化する革新的技術を採用。
GTCC等に対するコスト競争力に加えて、GE社が原子炉開発を始めた1955年以降、最もシンプルかつ革新的な技術を備えたBWRになると強調している。
なお、同設計は昨年7月、米エネルギー省(DOE)による先進的原子力技術開発支援プロジェクトで対象の1つに選定されており、DOEから約190万ドルの提供を受けることが決定。
GEH社はプロジェクトの実施に向けて、産業界の主要企業による専門家チームを結成した。
これには、大手原子力発電事業者のエクセロン社、総合エンジニアリング・建設とプロジェクト管理の専門企業ベクテル社、日立GEニュークリア・エナジー(HGNE)社、およびマサチューセッツ工科大学(MIT)から専門家が参加している。
(参照資料:GEH社、CSNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
「BWRX-300」の概念図©GEH社
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
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