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[英国] 気候変動委、CO2の削減目標達成に向け政府に真剣な取り組み要請

2019年8月6日

英国で2008年に気候変動法が制定された際、同法に関する助言・監視組織として設立された独立の公共団体「気候変動委員会(CCC)」は7月10日、CO2排出量の削減取組みに関する議会への年次報告書を公表した。
この中でCCCは、過去1年間に英国政府が温室効果ガス(GHG)の排出量削減のために取ったアクションは、法的拘束力のある排出量削減目標を達成するにはほど遠いと指摘。
英国議会は先月下旬、国内すべてのGHGを2050年までに実質ゼロにすることを法的義務とした法案を、2008年気候変動法の改正法として可決したばかりだが、政府は今後18カ月間に行動を起こして、この問題に真剣に取り組んでいることを示さねばならないと提言している。
これに対して、英国原子力産業協会(NIA)は同日、「報告書は、これまでの意欲に乏しいGHG削減目標を目指していた時でさえ、政策的な欠落部分があったことを如実に示した」と表明。
GHG排出量を実質ゼロとするには、原子力や二酸化炭素の回収・貯蔵(CCS)のように、確実かつ柔軟性を持った発電技術が求められるとCCCが結論付けた点を強調し、2050年までにこれらのオプションで必要とされるすべての電源を速やかに開発しなければならないとした。
また、次回のエネルギー白書で政府はCCCが今回示した懸念に取り組むことになるが、その際は、英国のGHG排出量を実質ゼロに導く永続的な政策枠組と、その他の国が追随するような青写真を設定することになると指摘している。
CCC報告によると、英国政府は昨年6月以降、GHG排出量を削減する25の重要政策のうち、たった1つしか実行に移していない。
また、一般家庭や企業による温暖化対策への支援という点では、10年前より意欲が低下しており、気候変動リスクへの対応は何一つ進展していないとした。
CCCの委員長を務めるJ.デベン卿は、英国がGHG排出量の抑制目標に法的拘束力を持たせた最初の主要国となったほか、来年は国連気候変動枠組条約・締約国会議(COP26)のホスト国も努める予定である点に言及。
しかし、英国はこのようにして低炭素化を目指す世界の最前線に立ったにも拘わらず、国内的なアクションを実行に移しておらず、政府は今こそ、自らの責任を真摯に果たすという意思を明確に示すべきであり、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするため、現実的な行動を起こさねばならないとした。
そのための具体的な勧告として、CCCは今回の報告書で以下のような点を提案している。
・GHG排出量の実質ゼロ政策は、英国政府のあらゆる省庁に組み込まれており、新しい首相は就任初日からウェールズ、スコットランド、北アイルランドの閣僚らとともに、GHGの実質ゼロに向けて英国を導いていく必要がある。
・GHGの排出量削減政策は企業にとっても受け入れ易いものであるべきで、低炭素電源への移行で最も効果的な方法を企業が開発できるようなインセンティブや、投資につながる規則、明確で安定した方向性をもたらすべきである。
・一般的な英国民も、政府が進めるGHG実質ゼロへの移行に全面的に関わらねばならない。
実質ゼロに向けてGHG排出量の半分以上を削減するには、各人それぞれの取り組みが必要になる。
・気候変動に対する国際的なアクションを強力に主導する際、英国政府は新たに設定したGHG排出量の実質ゼロ目標とCOP26ホスト国としての立場を利用すべきである。
(参照資料:CCCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」) 

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