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[仏国] 仏電力、来年から予算1億ユーロで原子力機器の品質向上等で行動計画
2020年2月3日
フランス電力(EDF)は12月13日、原子力産業界において最高レベルの基準をクリアできる高品質の機器製造や人材の能力向上を実現するため、2020年から2021年まで1億ユーロ(約122億円)の特別予算をかけた「エクセル(Excell)計画」を実施すると発表した。
仏国では、フラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)を初めて採用したフラマンビル3号機の建設工事が、原子炉容器鋼材の品質問題や配管溶接部の欠陥等により10年以上遅延している。
コストも3倍以上の124億ユーロ(約1兆5,200億円)に増大していることから、PSA(プジョーシトロエン)グループのJ.-M.フォルツ元会長は今年10月、「度重なる計画の遅れとコストの超過はEDFの失策」とする監査報告書を公表。
これを受けてB.ル・メール経済・財務相も、EDFに対して問題解決に向けたアクション計画を一か月以内に提示することを求めていた。
EDFのJ.-B.レビィ会長兼CEOはエクセル計画について、「フォルツ報告書が指摘した課題に取り組むためのものであり、仏国原子力産業界が信頼を取り戻す基盤になる」と説明。
「目指しているのは、カーボン・ニュートラルなエネルギー源である原子力発電が、今後も地球温暖化との闘いで中心的な役割を全面的に果たし続けられるよう保証することだ」と強調している。
エクセル計画ではその目的の達成に向けて、機器製造基準や人材の訓練と資格認定などを担当する上級職員が計画の遂行を監督するとともに、EDF会長兼CEOに経過を直接報告する義務を負う。
具体的には、以下の3つの重要項目に基づいて進めるとしている。
(1) 製造機器の品質向上
・顧客とサプライヤーの関係を徹底的に検証し、今よりもバランスの取れたリスク共有、製造基準に適合した契約の締結などを目指す。サプライヤーの選択では品質要件の遵守に一層の重きを置き、サプライヤーは機器製造における仕様書の作成や製造可能性の評価に一層深く関与する。
・新規の原子炉建設においてはサプライヤーの資格認定構想を新たに導入し、下請やその下のレベルの契約業者にもさらに厳格な認定を適用する。
・最重要事項として、今より厳しい資格認定基準や記録管理システムを活用し、それによってパーツ等の品質を保証する。
・機器の製造基準や人材訓練、資格認定などを担当する上級職員が機器の故障等を調査し、EDFやフラマトム社および産業界全体で良好事例が確実に活用されるようにする。
(2) 人材の能力向上
・EDFは仏原子力産業協会(GIFEN)と協力して、原子力事業にともなう様々な取組みを一元的に管理し、原子力分野に特化した大学を設立する。
・知識管理システムを用いて産業界の知見をフルに活用し、EDFのエンジニアリング・センター内に流布する。
・原子力産業界の基準をクリアできる溶接工を育成・雇用するため、産業界が具体的なプランを策定する。
(3) 大規模原子力プロジェクトの管理体制を強化
・大規模な原子力プロジェクトそれぞれについて、EDFの会長兼CEOが戦略委員会の議長を務め、プロジェクトの初期データを審査。また、プロジェクトの目標やコスト、スケジュールを設定するほか、関連する財政責任について審査を行い、主要な契約の締結を承認する。このような大規模プロジェクトの進展状況についても、EDF理事会は定期的に概要報告を受けることになる。
(参照資料:EDFの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月16日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
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