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[カナダ] 原研、SMR開発促進イニシアチブで英モルテックス社を支援

2020年5月27日

カナダ原子力研究所(CNL)は4月23日、英国のベンチャー企業モルテックス・エナジー社が開発しているピン燃料型溶融塩炉「SSR(Stable Salt Reactor)-W」(出力30万kW)で、燃料も含む開発プロジェクトに支援・協力することになったと発表した。
これは、CNLが昨年7月に設立した「カナダの原子力研究イニシアチブ(CNRI)」で支援する2件目の小型モジュール炉(SMR)研究開発プロジェクトとなる。
同プロジェクトの下、CNLとモルテックス社およびカナダのニューブランズウィック大学(UNB)は協力して、燃料試験装置をUNBの原子力研究センター内で設計・建設し、最適化を図る計画。
これと並行して、英国マンチェスター大学では補足活動が進められる。
CNRIは1年単位・コスト分担方式の研究開発支援イニシアチブであり、カナダにおけるSMRの研究開発と建設を促進し、同技術の商業化を加速することを目的としている。
このためCNLは、CNL傘下の国立研究所の専門的知見や世界レベルの研究設備を世界中のSMRベンダーに提供すると表明。
初回の提案募集では、国内外の主要なSMR開発ベンダーの中からモルテックス社も含めて申請を4件に絞り込み、1件目の支援対象として米国のウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)と同社製SMR設計を選定した。
次回の募集は今年春に実施を予定しており、プログラムの詳細等を専用ウェブサイトで公表中だとしている。
今回のCNRIプロジェクトでCNLは具体的に、燃料試験用の特殊機器をモルテックス社が準備し、設置・起動する段階で支援を提供するとした。
燃料試験はまず非放射性物質を使って行われるが、これらの機器を遮へい施設に移し実燃料や放射性物質で試験を完結させる際も、CNLはその専門的知見によって計画の立案やコスト計算、安全性分析などをサポート。
このような試験で集められたデータは最終的に、モルテックス社が将来、カナダ東部のニューブランズウィック(NB)州政府や州営電力のNBパワー社と共同でフル・スケールの燃料製造施設を同州内に建設する時、その設計や許認可活動に活用されることになる。
NB州政府はすでに2018年7月、世界的水準のSMR開発で同州がカナダのリーダー的立場を確立することを目的に、モルテックス社のSSR-Wについて商業規模の実証炉を2030年までに州内のポイントルプロー原子力発電所敷地内で建設する計画を発表している。
CNLによると、カナダで開発・計画されているモジュール式の原子炉設計の多くが革新的な燃料と燃料製造プロセスを採用しており、このような技術の進展は原子炉で一層高いレベルの効率性と安全性を約束する。
モルテックス社の場合、放射性廃棄物が少ない特性が期待できるが、そうした利点を現実化するにはコンセプトの実証や許認可プロセスの準備等で研究開発の実施が不可欠だとした。
モルテックス社のR.オサリバン北米担当CEOも、「研究開発を進展させプロジェクトを成功させるには、CNLからの財政支援と技術的専門知識が重要になる」とコメント。
間欠性のある再生可能エネルギーだけでは、現時点も将来的にも電力需要を賄えないのに対し、原子力発電は世界的なエネルギー問題に取り組む上で非常に重要との見方を強調している。
(参照資料:CNLの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの4月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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