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[カナダ] カナダ政府、放射性廃棄物処分政策の最新化と統合戦略の作成開始
2020年12月1日
カナダ連邦政府のS.オリーガン天然資源相は11月16日、既存の放射性廃棄物管理政策の最新化を図るため、様々な立場のカナダ国民が参加する取組プロセスを開始したと発表した。
同相はまた、この政策レビューの一環として、低・中レベル放射性廃棄物の管理で一層包括的な戦略を作成するようカナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)に要請したことを明らかにした。
発表によれば、カナダ政府は2050年までに同国が温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を達成する上で、原子力発電が大きな役割を果たすと考えている。
原子力はまた、カナダ国内のみならず世界中で雇用とビジネス・チャンスを創出することから、既存の廃棄物管理政策の最新化は政府が今後も、国民の安全と健康および環境を最優先に保全し続ける上で非常に重要である。
政府はそのための盤石な枠組を確保しているが、国際的な基準や最良好事例に合致した長期的な放射性廃棄物管理対策を推進するには、これを常に最新のものにしておかねばならない。
オリーガン天然資源相が開始したプロセスでは来年3月末までの期間、カナダ政府は様々な方法で放射性廃棄物の発生者や所有者、その他の政府機関、専門家、および一般国民や先住民族など、関係するすべての国民と協議。
放射性廃棄物の管理で一層力強いリーダーシップを発揮していけるよう、既存の政策を詳細に説明することになる。
カナダでは2007年、使用済燃料の直接処分を定めた国家方針が採択され、実施主体であるNWMOは2020年から処分場建設のサイト選定プロセスを開始した。
2012年9月までに国内の22地点が処分場の受け入れに関心を表明し、NWMOは現時点で候補地域をオンタリオ州南部のサウスブルース地域と北西部イグナス地域の2地点まで絞り込んだ。
2023年までに、これらのうちどちらかを処分場の建設に好ましい地点として確定することになっている。
カナダ政府が国民とコミュニケーションする手段は主にウェブサイトで、国民はネットを通じて放射性廃棄物や政策レビューに関する最新情報、プロセスの進行状況などを把握する。
ステークホルダーに対しては、ワークショップや円卓会議などを通じて直接的に対話するほか、オンライン・フォーラムも活用。
政府はこのような活動の結果を2021年春までに最終報告書に取りまとめて30日間のパブコメに付し、その年の秋にも最新化した政策を公表する予定である。
一方、NWMOに要請した低・中レベル廃棄物の統合管理戦略については、政府は具体的に、戦略の策定に向けた国民との対話を主導するようNWMOに求めている。
NWMOが使用済燃料の安全な長期管理について策定済みの計画に基づき、オリーガン大臣は同戦略には以下の項目を含めるべきだと指摘した。
それらはすなわち、
・廃棄物の現在と将来の排出量、小型モジュール炉(SMR)を設置した場合に排出される廃棄物の特性や所有者、保管場所など、既存の廃棄物管理状況の説明。
・廃棄物の長期管理処分に関する現在の計画とその進行状況。
・現在および将来排出される放射性廃棄物を取り扱う際の(長期管理処分に関する技術オプションなど)概念的アプローチ。
・廃棄物を長期に管理する施設の計画立案や設置、統合、操業などの検討状況。
同大臣は、このような重要任務をNWMOが包括的かつ透明性のあるやり方で実行することは非常に重要だと説明。
NWMOは現在、使用済燃料の長期管理計画を遂行中だが、低・中レベル廃棄物戦略の件で国民との対話を進める折にも、NWMOのこのような任務が損なわれてはならないと指摘した。
NWMOによると、現在カナダ国内の低・中レベル廃棄物はすべて安全な方法で中間貯蔵中。
NWMOとしてはこの重要な業務の遂行にあたり、その専門的知見を使って実用的な勧告をカナダ政府に提示し、国際的な良好事例に沿った形で廃棄物の長期管理が続けられるようにしたいと述べた。
(参照資料:カナダ政府、NWMOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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