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[欧州] 欧州の13労組、「EUタクソノミー」に原子力を含めることをEC委員長に要請

2021年2月24日

欧州6か国の主要な13の労働組合は2月4日、欧州委員会(EC)のU.フォンデアライエン委員長宛てに共同書簡を送った。
  欧州連合(EU)が2050年までに気候中立(carbon neutrality=CO2排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態)を達成するという「欧州グリーンディール」の目標を満たすのであれば、中心となるグリーン事業の分類(EUタクソノミー)に原子力を含めなくてはならないと訴えている。
これらの労組は、ベルギー、ブルガリア、フィンランド、フランス、ハンガリー、ルーマニアの労働者を代表する組織で、エネルギー・原子力関係の労組も網羅。
フランスの5つの主要労組連合の一つである「労働総同盟(cgt)」やベルギーの3大労組の一つ「キリスト教労働連盟(CSC-ACV)」などが含まれている。
「EUタクソノミー」は見せかけの環境配慮を装った事業を廃し、環境上の持続可能性を備えた真にグリーンな事業に正しく投資が行われるよう、明確に定義づけるための枠組み。
ECの「持続可能な金融に関する技術専門家グループ(TEG)」は2020年3月、「EUタクソノミー」の最終技術報告書の中で「原子力については、放射性廃棄物の管理で環境分野に悪影響が及ばないかという点で評価が非常に難しい」と表明。
その時点では、原子力を「EUタクソノミー」に含めるようECに勧告することはできないとしていた。
13の労組は今回の書簡の目的について、「気候中立を達成する際に原子力が果たす重要な役割について、フォンデアライエン委員長に注目してもらうことだ」と説明。
これと同時に、EU域内におけるエネルギーの供給保証と新型コロナウイルスによる感染拡大からの復興も目指す。
同委員長との対話を通じて、原子力の持つすべての潜在能力が発揮される状況を作り出し、経済面の効率性が高く社会的にも公正な「低炭素な欧州」を2050年までに構築したいと述べている。
これらの労組の認識では、原子力はEU域内における低炭素電力の約半分を供給しており、国際エネルギー機関(IEA)と国際原子力機関(IAEA)は共同で原子力の有用性を指摘。
「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」も、地球温暖化の防止に原子力は必要欠くべからざる解決策の一つだと繰り返している。
13の労組はまた、EU加盟国の多くが次世代原子炉の開発や既存炉の運転期間延長を優先事項としており、近年は小型モジュール炉(SMR)などの新技術も浮上しつつあると説明。
再生可能エネルギーのように出力調整困難な電源を補いつつ、欧州電力システムの安定性を確保するには、信頼性の高い電力供給が可能な欧州原子力産業への投資は欠かせないと指摘した。
もしも原子力が「EUタクソノミー」から除外された場合、再生エネの補完は引き続き化石燃料火力が担うことになり、CO2排出量の削減という目標の達成は難しくなるとしている。
さらに、原子力を除外すれば、このような強い悪影響は欧州の原子力産業のみならず、電力多消費産業を中心とした全産業に及ぶ。
これが確定してしまえば、欧州は気候中立の達成に向けた重要な基準を満たすことはできなくなると強調している。
(参照資料:欧州労組の共同書簡、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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