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[パキスタン] 中国国外で初の「華龍一号」、パキスタンのカラチ2号機が送電網に接続

2021年4月6日

中国核工業集団公司(CNNC)は3月19日、パキスタンのカラチ原子力発電所2号機(K-2)(110万kW)が18日付で初めて、パキスタンの送電網に接続したと発表した。
同発電所では、中国が知的財産権を有する第3世代炉「華龍一号」をCNNCが2号機、3号機として建設中である。
2015年8月に本格着工したK-2は、「華龍一号」を採用した中国の輸出プロジェクトとしては最初のもの。
今年の2月下旬に、同炉は初めて臨界条件を達成しており、年内にも営業運転を開始する見通しとなった。
カラチ発電所3号機(K-3)の建設工事も2016年5月から始まっており、K-2に続いて来年完成すると見込まれている。
パキスタンでは政府の「原子力ビジョン2050」に基づいて、2050年までに約4,000万kWの原子力発電設備建設を目指している。
しかし、カシミール地域の帰属問題を巡って長年インドと対立しているため、インドと同じく核不拡散条約(NPT)に加盟しない道を選択した。
欧米の原子力先進国から技術面、資金面の支援が得られないなか、中国からはこれらの両面でパキスタンに支援が提供されており、すでにチャシュマ原子力発電所では中国製の30万kW級PWRが4基稼働中である。
K-2の送電網への接続についてCNNCは、両国間の全面的な戦略協力パートナーシップを一層強化する重要な出来事になったと評価。
またCNNCによれば、「華龍一号」は中国の30年以上におよぶ原子力研究開発での設計・製造・建設・運転経験に基づいて開発されており、中国の優れた製造産業が世界市場に進出する際のビジネス・ツールでもある。
同設計の具体的なスペックとして、CNNCは設計上の運転期間が60年であるほか、177体の燃料集合体による運転サイクル期間は18か月、安全系に動的と静的両方のシステムを組み合わせており、格納容器は二重構造になると説明。
これらによって、国際的に最も厳しい安全基準をクリアしたとしている。
CNNCはK-2の年間発電量が約100億kWhにのぼると予測しており、これにより標準炭の使用量を312万トン削減、CO2にして816万トンの排出を抑制できるとした。
また、この建設プロジェクトでは関連産業で1万人以上の雇用創出がパキスタン国内で見込まれ、同国民の生活の質を向上させるとともに経済成長を促すなど、重要な役割を果たすと指摘している。
「華龍一号」設計を採用した原子炉としては、中国国内ですでにCNNCの福清5号機が今年1月に福建省で営業運転を開始、同6号機の完成も間近いと見られている。
また、中国広核集団有限公司(CGN)はCGN版の「華龍一号」設計を使って防城港3、4号機を広西省で建設している。
さらに2019年以降はCNNCが福建省でショウ(さんずいに章)州1、2号機を、CGNが広東省で太平嶺1、2号機を建設中であり、2020年12月末にはCGNが浙江省でも三澳1号機を本格着工している。
同設計はまた、英国ブラッドウェルB原子力発電所(100万kW級PWR×2基)への採用が決定。
2017年1月から同国の原子力規制当局が英国仕様の「UK-HPR1000」について、包括的設計審査(GDA)を実施中となっている。
(参照資料:CNNCの発表資料(中国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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