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[ポーランド] ポーランド政府と国立原研のHTGR開発、基本設計の開発段階に

2021年6月2日

ポーランドの気候・環境省は5月12日、国立原子力研究センター(NCBJ)と政府が実施している高温ガス炉(HTGR)の研究開発を次の段階に進めるため、教育・科学省とNCBJが確認書に調印したと発表した。
ポーランド政府は2020年代後半までに、首都ワルシャワの東南30kmのシフィエルクに位置するNCBJで、熱出力1万kWの研究用HTGRを建設することを計画。
この計画に基づいて、2030年頃には熱出力16.5万kWの商業用HTGR初号機を国内で完成させる方針である。
今回の確認書では、出力3万kWの高中性子束チャンネルプール型研究炉「マリア」を擁するNCBJが、HTGR研究炉の初期段階の基本設計を開発するとともに、立地点としての建設条件を3年以内に整えることになる。
ポーランドは大型の商業用原子炉の建設計画と並行して、主に化学産業への熱供給用にHTGRの導入計画を日本原子力研究開発機構などと協力して進めている。
その実行可能性を探るために政府が設置した諮問委員会は2016年10月、「HTGRによる熱電のコジェネレーションは商業的に有望」との見解を表明。
翌2017年9月に政府はこの報告書を受理しており、同じ月に欧州原子力共同体(ユーラトム)がHTGRの産業利用の実行可能性を実証するために開始した「GEMINI+」プロジェクトでは、NCBJが調整役を担っている。
2019年1月になると、ポーランドのエネルギー省はHTGRの研究開発プロジェクト「Gospostrateg」の実施と資金調達を支援するため、NCBJと契約を締結。
翌月から2022年1月末までの3年間、ポーランドでのHTGR建設にともなう法制面や組織面、および経済面の包括的な分析調査を実施することになった。
今回の確認書は同プロジェクトの一部となるもので、調印式には気候・環境省のM.クルティカ大臣と教育・科学省のP.チャルネク大臣、およびNCBJのK.クレク・センター長が参加した。
クレク・センター長はこの確認書に基づく最初の段階として、センター内に研究設備を設置すると表明。
それらを使ってHTGRで使用する材料を試験すると述べた。
また、建設許可を申請する前に、技術分析やシミュレーション、安全分析を実施する計画を明らかにしている。
チャルネク教育・科学相は、「マリア炉を開発したポーランドの科学者やエンジニアが再び、その能力を発揮する機会が訪れた」として確認書の締結を歓迎。
クルティカ気候・環境相も、「HTGRはポーランド経済の中で高温熱を幅広く活用する最初の一歩になる」と述べた。
また、「気候・環境省は温室効果ガスの排出量削減に貢献する構想ならすべて支援していくが、原子力は環境を損なわずに近代的な経済活動や産業すべてを支える重要ツールになる」と強調している。
(参照資料:ポーランド政府(ポーランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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