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[ベルギー] ベルギー政府 脱原子力の達成時期を延期──2基を2035年まで運転

2022年3月25日

ベルギーでは2025年までに国内で稼働する商業炉7基の全廃が予定されていたが、同国のA.デクロー首相は3月18日、7基のうち最も新しいドール4号機とチアンジュ3号機(各100万kW級PWR)の運転期間を10年延長する判断を連邦政府が下したと発表した。


これにより、同国では約200万kWの原子力発電設備が2035年まで維持されることになり、連邦政府は今後、2基の運転期間延長に向けた措置を講じる方針である。具体的には、この延長が明記された予備的な法案を3月末までに閣僚会議に提出し承認を取得。その後は、2011年11月末に公布された国王令の修正案を作成するとしている。


同首相は、「地政学的に不穏な状況が続くなか、これら2基の運転継続および再生可能エネルギーへのシフトを加速することで、ベルギーは化石燃料発電から脱却していく」と強調。これにともない、洋上風力や太陽光による発電、水素製造、および持続可能な輸送等への投資を追加する考えを明らかにした。


ベルギーではチェルノブイリ原子力発電所の事故後、緑の党を含む連立政権が2003年に脱原子力法を制定。既存の7基の運転期間を40年に制限するなどして、2025年までに脱原子力を達成すると決定した。しかし、総発電量の約5割を供給するこれら7基の代替電源が確保できず、連邦政府と事業者のENGIEエレクトラベル社は福島第一原子力発電所事故が発生した後の2015年11月、運転開始後40年目を迎えた商業炉の運転期間を2025年まで延長するための条件で合意。最新の安全基準を遵守するための大規模な改修作業を開始した。


その後、同国では2020年10月に7政党による連立政権が誕生し、2021年12月の協議により7政党は「2025年までに7基すべてを閉鎖する」ことで原則合意。その際、ドール4号機とチアンジュ3号機については、エネルギー供給を保証できない場合に限り2025年以降も運転継続する可能性が残されていた。


今年1月にベルギー連邦原子力規制局(FANC)は、これら2基について「機器類を最新化すれば運転期間の延長が可能」との分析報告書を発表している。ただしそのためには、連邦政府が今年の第1四半期中にこれら2基の運転長期化を明確に決定し、すべての関係者が実施に向けた包括的アプローチをとる必要があると指摘。送電会社のエリア・グループも今月半ば、連邦政府に2025年以降のエネルギー供給保証に関する報告書を提出した模様で、これらの報告書に基づいて、今回「運転期間の長期化計画(プランB)」の実施判断が下されたと見られている。


ただし、デクロー首相は今後も、必要な設備容量を必要な期限までに確保する「容量補填メカニズム(CRM)」の早期導入に向けて、エネルギー相とともに検討を進めていく。ドール4号機とチアンジュ3号機の運転期間延長がCRMに及ぼす影響については、欧州委員会(EC)やENGIEエレクトラベル社との協議を継続すると表明した。同首相はまた、CO2排出量実質ゼロ化のために投入する11億ユーロ(約1,500億円)のうち、年間2,500万ユーロ(約33億4,000万円)を今後4年間、小型モジュール炉(SMR)に関するベルギー原子力研究センター(SCK-CEN)との協力に投資する考えを明らかにしている。


(参照資料:ベルギー首相府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

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