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[国際] 欧州議会、EUタクソノミー基準への原子力の追加を承認
2022年7月14日
欧州連合(EU)の主な政策決定機関である欧州議会は7月6日の票決の結果、環境上の持続可能性を備えたグリーン事業への投資基準「EUタクソノミー」において、持続可能とみなすための技術的精査基準となる「地球温暖化の影響を緩和する(補完的な)委任法令(Delegated Act: DA)」に、一定条件下で原子力関係の活動を加えるとした欧州委員会(EC)の提案に異存はないと発表した。
欧州議会とともにEUの政策決定を担う欧州連合理事会が、今月11日までに異議を唱えなければ、同DAは2023年1月1日付で発効し適用が開始される見通しだ。
EUは2050年までに域内CO2排出量の実質ゼロ化を目指しているが、その達成に資する諸活動には多額の民間投資が必要。
このため、EUの執行機関であるECは、同タクソノミーを通じて民間投資を誘導する方針である。
ECは近年の科学技術の進歩を考慮すると、原子力および天然ガスへの民間投資もCO2ゼロ化への移行促進に有効と考えている。
このためECは今年2月、同タクソノミーの下で1月1日から施行されている現行のDAで、原子力と天然ガスに関する経済活動を過渡期の暫定的な活動として認めると同時に、これらに関して明確かつ厳密な条件を設定する提案を行った。
しかし、欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会と経済通貨委員会は6月14日、この提案を否決すべきだとする動議を提議、欧州議会では今回この動議に関する票決が行われた。
結果として278議員がこの動議に賛成したのに対し、328議員が反対票を投じたほか33議員が棄権。
EC提案を退けるには欧州議会の絶対多数である353議員がこの動議に賛成する必要があり、その場合ECはこの提案を取り下げるか、あるいは修正を余儀なくされることになっていた。
この結果についてECは同日、「加盟国でCO2排出量ゼロ化への移行を支援する現実的なアプローチとして、一定条件下で原子力の活動も加えるとしたECのDA提案が認識されていることが明確になった」と表明。
「CO2のゼロ化はEUの目標であり、それゆえに法的拘束力ももつので、CO2を多量に排出するエネルギー源の排除に利用できる手段はすべて活用したい」と述べた。
また、「ウクライナに対するロシアの理不尽な軍事侵攻は、クリーンエネルギーへの移行を早め一層緊急性を帯びたものにしたが、ECが今回提案したDAは、ロシア産化石燃料依存から脱却するための具体策『REPowerEU Plan』と同じくこのような現実を反映しており、ロシアからの天然ガス輸入量の削減に有効である」と指摘した。
欧州原子力産業協会(今年6月に英名称をフォーラトムからニュークリアヨーロッパへ改称)は同日、欧州議会の決定を祝福するコメントを発表した。
Y.デバゼイユ事務局長は、「原子力が持続可能なエネルギー源であるとともに、地球温暖化との闘いにおいても重要であることは科学的に明快だ」と指摘。
その上で、「欧州議会の大多数がEC共同研究センター(JRC)の専門家の意見に耳を傾け、正しい判断を下したことは本当にすばらしい」と称賛している。
(参照資料:欧州議会①、②、EC、Nucleareuropeの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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