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[ベルギー] ベルギー政府 2基の運転期間延長に向け前進
2023年1月19日
ベルギー首相府の1月9日付発表によると、国内で最も新しい原子炉2基の運転期間を2035年まで10年延長するため、ベルギー政府が電気事業者エレクトラベル社の親会社である仏エンジー社と主要事項に関する予備的合意案に署名した。
同国のA.デクロー首相とエネルギー省のT.バンデアストラッテン大臣が同日、記者会見で詳細を発表、1985年に営業運転を開始したドール4号機とチアンジュ3号機(各PWR、100万kW)を40年目の2025年に一旦停止した後、2026年11月に再稼働させることを目的としたもの。
これら2基の運転継続に向け、ベルギー政府とエンジー社は2022年7月、その実行可能性や長期運転(LTO)の前提条件に関する交渉の継続等で原則合意しており、今回これらの事項を具体化することとなった。
ベルギーではチョルノービリ原子力発電所事故後の2003年、緑の党を含む連立政権が脱原子力法を制定しており、既存の原子炉7基の運転期間を40年に制限するなどして、2025年までに脱原子力を達成することになっている。
しかし、2020年に発足した7政党の連立政権は2021年12月、これらを2025年までに全廃することで原則合意したものの、現時点でも総発電量の約5割を供給するこれら原子炉7基の代替電源が確保できていないことから、最も新しいドール4号機とチアンジュ3号機については、エネルギー供給を保証できない場合に限るという条件で運転継続する可能性を残していた。
その後、2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、欧州各国の天然ガス調達に大きな影響が出るなど、エネルギー供給を巡る状況は大きく変化。
ベルギーの原子力規制当局が同年1月、これら2基の運転期間延長を条件付きで認めていたことから、ベルギー政府は2022年3月、これらの運転を2025年以降も継続し、合計約200万kWの原子力発電設備を2035年まで維持する方針を決定した。
首相府によると、両者が今回合意した文書は、今後数か月以内に完全な合意協定を締結するための下地となる。
この文書では、運転の継続に向けて関係当局から承認を得る手続きが必要になるため、環境影響面と技術面の調査を直ちに開始することなどが盛り込まれている。
具体的には、両炉の運転延長期間中、ベルギー政府とエンジー社が均等に出資する合弁企業がこれらの管理にあたるが、その実施に向けた法改正手続きや欧州委員会の承認取得手続きの概要、2基から出る放射性廃棄物の処理経費に上限を設けるための枠組みなどを明記。
また、これに必要な技術面と財政面のパラメーターを今後数週間以内に確定する態勢も明確化したほか、事業者がこれら2基を適切に運転することを保証する事項も定めている。
(参照資料:ベルギー首相府の発表資料(フランス語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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