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[エストニア]エストニアのフェルミ社 GEH社のBWRX-300を選定
2023年2月14日
エストニアの新興エネルギー企業フェルミ・エネルギア社は2月8日、2030年代初頭の完成を目指して同国で建設する最初の小型モジュール炉(SMR)として、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社の「BWRX-300」を選定した。
今後は、原子力発電の導入に対するエストニア議会の承認や、適切な建設サイトの確保、原子力関係の法整備が必要になる。
フェルミ社は、「必要な作業の分析はすべて終えており、現実的に見ても2031年のクリスマスまでに、我が国初の原子力発電所で信頼性の高いクリーン・エネルギーを低価格で供給することが可能だ」と指摘。
SMRの建設は地球温暖化防止に向けたエストニアの目標達成に資するだけでなく、同国経済にとっても有益だと強調している。
フェルミ社は、エストニアで第4世代のSMR導入を目指して、同国の原子力科学者やエネルギー関係の専門家、起業家などが設立した企業。
2019年から様々なSMR設計について、実行可能性調査を実施していた。
2022年9月には、再エネとは違い天候に左右されずに長期的な固定価格で確実に電力供給が可能な第4世代のSMRの導入を目指し、フェルミ社は最終選考に残った米国のGEH社とニュースケール・パワー社、および英国のロールス・ロイス社に入札の招聘状を送付した。
選定基準としては、発電技術としての成熟度や経済的な競争力、サプライチェーンにエストニア企業を含めることなどを挙げていた。
折しも2021年12月には、カナダ・オンタリオ州のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が、州内のダーリントン原子力発電所で建設するSMR初号機として「BWRX-300」を選定した。
フェルミ社はOPG社の設計・建設経験に基づいて、エストニアでもSMR計画を徐々に進めていくことができると説明している。
フェルミ社のK.カレメッツCEOは、OPG社がすでに2022年10月、「BWRX-300」の建設許可申請書をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に提出したことや、ポーランドのPKNオーレン社が化学素材メーカー大手のシントス社と共同で、「BWRX-300」も含めて合計74基のSMRを建設すると表明した事実に言及。
ポーランドやスウェーデンに加えて、その他の欧州諸国も「BWRX-300」を選択すれば、その性能は保証されたものとなり、欧州内で十分なサプライチェーンも確保されると指摘している。
GEH社によると、出力30万kWの次世代原子炉である「BWRX-300」は、原子炉上部に設置した大容量冷却プールの水で外部電源や人の介在なしに燃料を冷却できるなど、高い安全性を備えている。
同社のJ.ワイルマン社長兼CEOは、「簡素化したプラント構造や確証技術を用いた機器、すでに認可済みの原子炉設計などを組み合わせており、有力なSMR設計であることが今回の選定ではっきりした」と表明。
「BWRX-300」は短い工期で、コスト面の競争力も備えた無炭素な発電が可能だと強調した。
両社の協力関係は、2019年にフェルミ社が「BWRX-300」の建設可能性を探るため、GEH社と交わした合意文書により始まった。
2021年には、同炉の許認可手続きやサプライチェーン開発など重要事項について協力チームを結成することで合意していた。
GEH社の説明では、「BWRX-300」に対する関心は米国でも高く、テネシー峡谷開発公社(TVA)が2022年8月、テネシー州のクリンチリバー・サイトで同炉を建設する可能性に基づき、予備的な許認可手続きを開始した。
カナダではダーリントン発電所での建設計画に続き、サスカチュワン州のサスク・パワー社も2022年6月、州内で2030年代半ばまでに建設するSMRとして同設計を選定している。
スウェーデンではプロジェクト開発企業のシャーンフル・ネキスト(Kärnfull Next)社が2022年3月、同国内で複数の「BWRX-300」を建設していくため、GEH社と了解覚書を締結した。
GEH社はこのほか、英国でも同炉の建設が可能になるよう、昨年12月に包括的設計審査(GDA)の申請書を英国政府に提出済みである。
(参照資料:フェルミ・エネルギア社、GE社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月8日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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