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[フランス] 仏パンリー原子力発電所 2基増設を申請

2023年7月12日

フランス電力(EDF)は6月29日、北西部ノルマンディー地方のパンリー原子力発電所(PWR×2基、出力各138.2万kW)で改良型欧州加圧水型炉(EPR2)2基を増設するため、設置許可申請書(DAC)を規制当局に提出した。


今年5月にフランス議会で原子炉新設手続きの迅速化法案が可決し、翌6月23日付で発効したことから、EDFは28日の理事会でこれら2基の建設計画の実施を決定。
2007年にフラマンビル原子力発電所で同国初のEPR(165万kW)建設工事を開始して以来、最初の新設計画の許認可手続きが今回正式に開始した。
EDFはDACの提出と併せて、完成炉の送電網への接続等に関する行政手続きも申請しており、現時点で2024年半ばの準備作業開始を目指している。


フランスでは2015年8月に「グリーン成長に向けたエネルギー移行法」が成立し、F.オランド前大統領が公約していた「70%の原子力シェアを2025年までに50%に引き下げる」ことになったほか、原子力発電出力を現状レベルの6,320万kWに制限することが決定した。
しかし、2017年に発足したE.マクロン政権は2018年11月、原子力シェアの50%への引き下げを現実的で経済的、かつ社会的にも実行可能な条件下で達成するため、削減目標を10年先送りすると決定。
2022年2月には、フランスのCO2排出量を2050年までに実質ゼロ化するとともに、国内の原子力産業を再活性化するため、EPR2を新たに6基建設し、さらに8基の建設に向けた調査を開始すると表明していた。


EDFはすでに2021年5月、フランス経済の脱炭素化やエネルギー自給の観点から、政府に国内でEPR2を建設すると提案しており、パンリー発電所の後はグラブリーヌ発電所(PWR×6基、各95.1万kW)で追加の2基を、その後はビュジェイ発電所(PWR×4基、各90万kW級)、あるいはトリカスタン発電所(PWR×4基、各95.5万kW)でさらに2基を建設する方針。
これら3組のEPR2建設計画を通じて、EDFは建設段階で年間3万人、運転段階では1万人以上の雇用が創出されると試算している。


その後、独立行政機関の国家公開討論委員会(CNDP)が2022年10月27日から今年2月までの4か月間にわたり、この問題も含めたフランスの将来のエネルギー・ミックスに関する公開討論を実施。
その結果から、EDFはEPR2の最初の2基を建設する計画への大筋の合意が示されたと説明している。


同計画の実施にあたり、EDFは地元のコミュニティや住民と連携してプロジェクトに取り掛かることを約束。
社会的な責任を負った持続可能な開発という観点からプロジェクトを模範事例として進めるほか、政府や地元コミュニティとの協力を通じて大型プロジェクトの推進機能を全面的に担う。
また、公開討論結果のフォローアップやEPR2建設計画等に関する情報を、高い透明性を持って継続的に一般国民に伝え、プロジェクト全体でも地元との協議を続けていく方針だ。


フランス原子力学会(SFEN)によると、規制当局による環境影響面の審査は約1年を要するほか、DACの審査には約3年かかる見通し。
環境影響面の承認が得られれば、2024年の夏にはサイトの整地や崖部分の再形成といった着工準備作業を開始できるが、この作業は約3年半続くと見られている。
また、DACが取得されれば、2027年頃にEPR2初号機の原子炉建屋部分で最初のコンクリート打設が可能となり、2035年には同炉の起動が予想されている。

(参照資料:EDFSFEN(フランス語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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