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[米国] 米ワシントン州で最大12基のSMR建設へ
2023年8月2日
米国北西部ワシントン州の電気事業者であるエナジー・ノースウエスト社は7月19日、同州内で最大12基のX-エナジー社製・ペブルベッド式小型高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」を建設するため、同社と共同開発合意書(JDA)に調印した。
第4世代の小型モジュール炉(SMR)となる「Xe-100」は電気出力8万kW、熱出力は20万kWで、これを12基連結することで最大96万kWの電気出力を得ることが出来る。
エナジー・ノースウエスト社は自らが所有・運転するワシントン州内唯一の原子力発電所、コロンビア発電所(BWR、121.1万kW)の隣接区域で「Xe-100」発電所の建設を計画しており、2030年までに最初のモジュールの運転開始を目指す方針である。
エナジー・ノースウエスト社は同州内の地方自治体など28の公益電気事業者で構成され、2020年からX-エナジー社と協力して「Xe-100」の建設プランを作成していた。
当初は「Xe-100」を4基備えた発電設備の建設を計画していた。
今回のJDAでは「Xe-100」の商業化に向けて、立地点や建設スケジュールの詳細等を明確化した。
今後は、同炉の許認可手続きや規制事項への対応等を共同で決定していく。
米エネルギー省(DOE)は2020年10月、「先進的原子炉実証プログラム(ARDP)」における初回支援金の交付対象の一つとしてX-エナジー社を選定した。
「Xe-100」の実証炉建設に向けた支援金として、DOEは同プログラムから今後7年間で総額12億ドルを交付。
これらの一部は、同炉で使用する3重被覆層・粒子燃料(TRISO燃料)の商業規模の製造施設を、テネシー州オークリッジで建設する計画にも利用されている。
「Xe-100」の実証炉については、素材関連企業のダウ(Dow)社がメキシコ湾沿いにある同社施設の一つで建設するため、2022年8月にX-エナジー社と基本合意書を締結。
今年5月には、同社「Xe-100」の立地点として、テキサス州メキシコ湾岸のシードリフト市を選定した。
同社が2001年に合併吸収したユニオン・カーバイド社(UCC)の製造施設で2026年に実証炉を着工し、ARDPの一環として2020年代末までにその性能を実証するとしている。
エナジー・ノースウエスト社のB.シュッツCEOは、同社の使命は米国の北西部地域にクリーンで信頼性の高い安価な電力を供給することだと説明。
その上で、「この地域が送電網を将来的にクリーンなものに変える際、信頼性の高い無炭素電源が新たに必要なのは明らかだ。
X-エナジー社の先進的原子炉技術はCO2を多量に排出する発電システムにとって最適の、理想的な特性を多く備えている」と強調した。
なお、合同会社※1であるX-エナジー社(X-Energy, LLC)は昨年12月、特別買収目的企業(SPAC)※2のアレス・アクイジション社(Ares Acquisition Corporation) と最終的な合併契約を締結している。
手続きは今夏中に完了すると見込まれており、合併後は「X-Energy, Inc.」の新名称でニューヨーク証券取引所に上場する予定である。
(参照資料:X-エナジー社、エナジー・ノースウエスト社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
※1 合同会社(LLC)は出資者(会社の所有者)と経営者が同一。
設立費用が安く決算公告や役員重任登記が不要で、剰余金分配の制限がないというメリットがある。
※2 未公開会社の買収を目的として設立される法人。
【情報提供:原子力産業新聞】
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