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[イギリス] 英政府 SZC計画の加速で1.7億ポンドを投資

2023年8月9日

EDFエナジー社が英国で計画しているサイズウェルC(SZC)原子力発電所(167万kWの欧州加圧水型炉=EPR×2基)建設プロジェクトの準備を加速するため、英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は7月24日、同計画用資金の中から1億7,000万ポンド(約309億円)を新たに歳出すると発表した。


この資金は、サイトでの建設準備活動や主要機器の調達、労働力の確保等に充てられる。
同計画では建設ピーク時に英国内で1万人規模の雇用が見込まれるほか、関連契約の約70%が英国内のサプライチェーンにもたらされる見通し。
DESNZとしては、新しい資金調達方法として「規制資産ベース(RAB)モデル」を採用した同計画に新たな民間投資を呼び込み、EDFエナジー社に対しては同計画への最終投資判断(FID)を促す方針である。


DESNZはまた、同発電所のこの2基を追加することで、2050年までに英国の原子力発電を現在の約4倍の2,400万kWに拡大する政府目標の達成に近づき、英国のエネルギー供給保証を強化できると指摘。
ロシアのV.プーチン大統領を、世界のエネルギー市場から締め出す原動力にもなるとしている。


DESNZの発表によると英国では7月中旬、原子力発電所の迅速な新設を主導する新しい政府機関の「大英原子力(GBN)」が正式に発足した。
GBNでは近年浮上してきた原子炉技術のみならず、SZCやヒンクリーポイントC(HPC)のような従来型大規模原子力発電所の建設プロジェクトも支援していく予定であり、国家経済の成長や電気料金の削減にも貢献すると強調している。


SZCプロジェクトについては、EDFエナジー社の下で同計画を担当している子会社のNNB GenCo(SZC)社が2020年5月、計画法に基づいて「開発合意書(DCO)」の発給を計画審査庁(PI)に申請した。
この当時、エネルギー政策を担っていたビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は、PI審査官の報告書等の結論に基づき、2022年7月にDCOの発給を決定している。


BEISはまた、同年11月にSZCプロジェクトに対して総額6億7,900万ポンド(約1,236億円)の直接投資を行うと発表した。
EDFエナジー社とともに同計画に50%ずつ出資する一方、NNB GenCo社と協力して、SZCプロジェクトへの出資者を新たに募る方針。
同計画では2015年の合意に基づき、中国広核集団有限公司(CGN)がEDFエナジー社に20%の出資を約束していたが、BEISは英政府が出資することで所有権の買取や税金なども含めて、CGNの撤退を促すことが可能だと指摘した。
同計画のFIDに関してはEDFエナジー社が昨年、「うまくいけば2023年中に下すことが可能」と述べていた。


今年2月にBEISからエネルギー政策を引き継いだDESNZのG.シャップス大臣は、SZCプロジェクトについて、「すでに実施中のHPCプロジェクトと、国産原子力発電シェアの25%まで拡大という長期目標を橋渡しする役割を担っている」と指摘。
その上で、「新しい原子力発電所で信頼性の高いクリーン・エネルギーを安価で提供するだけでなく、英国がプーチンのような暴君にエネルギーの身代金を支払わずに済むようにしていく」との決意を表明している。


(参照資料:英国政府発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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