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[スウェーデン] スウェーデン SMRの建設可能性を模索

2023年9月6日

スウェーデンの放射性廃棄物処理専門企業であるスタズビック社は8月24日、同国南部のニュヒェーピング(Nyköping)近郊にある同社サイトに、複数の小型モジュール炉(SMR)を備えた商業用「SMRパーク」の建設可能性を調査するため、SMRのプロジェクト開発企業シャーンフル・ネキスト(Kärnfull Next:KNXT)社と協力覚書を締結した。


SMRパークの建設構想はKNXT社が中心となって進めているもので、同社はすでに5月からスタズビック社サイトの実行可能性調査(FS)の予備的作業を実施中。
現時点では暫定的ながら、SMRの商業利用に適した条件を備えているとの結果が出ている。
同社は12月までに本格的なFSを実施し、SMRパーク建設の技術面や環境面、および社会面や財政面の実行可能性を評価。
地元住民の合意を得るのは当然のことながら、同FSで良好な結果が得られれば、KNXT社はスタズビック社と共同で、2024年後半に同プロジェクトに関する資金調達や許認可手続き、発電電力の売買契約など主要事項を決定、2030年代初頭にも欧州初のSMRパークの実現を目指す。


スタズビック社によると、スウェーデン南部では将来的に電力需要の大幅な増加が見込まれている。
同じく南部にある同社のサイトでは、原子燃料や核物質関係の技術、原子炉の安全解析ソフト、廃止措置や放射線防護関係のサービスなど、原子力技術の専門的知見が幅広く利用できるため、戦略的にもこの需要を満たすことが可能である。
同社はまた、化石燃料発電を削減してクリーン・エネルギー社会に移行し、環境面で持続可能な将来を築くには、その重要手段の一つである原子力発電が大きく貢献すると認識。
自社サイトにSMRを設置することは、同社ビジョンにも合致すると考えている。


一方のKNXT社は、クリーン・エネルギーへの移行解決策として、短期間で建設可能なSMRなどの原子力プロジェクトをスウェーデンのあらゆる部門に提案する方針。
国内で複数のSMRを可能な限り迅速に建設するため、2022年3月に米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社と同社製SMR「BWRX-300」の建設に向けた了解覚書を締結した。
KNXT社はまた、フィンランドとスウェーデンの両国で新たな原子炉の建設を検討しているフィンランドの電気事業者フォータム社とも、2022年12月に了解覚書を締結しており、共同でスウェーデン国内でのSMR建設機会を探っている。


スタズビック社のC.ホフルンドCEOは、「サイト条件の本格的な調査はまだ実施しておらず、実際にSMRを設置するまで何年もかかるが、確かな知見を有するKNXT社との協力により、FSで良い結果が出ることを期待している」と述べた。


KNXT社のC.ソーランダーCEOは、「既存の3つの原子力発電所に続く新たな原子炉の立地点として、スタズビック社のサイトは非常に適していると思う」と表明。
その上で、「複数のSMRを設置することで安定した雇用が多数創出され、その他のハイテク産業を呼び込む機会も生まれる」と指摘している。


(参照資料:スタズビック社KNXT社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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