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[英国] 英政府 SZC計画の準備加速に3.41億ポンドを追加
2023年9月14日
英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は8月29日、EDFエナジー社がサフォーク州で計画しているサイズウェルC(SZC)原子力発電所建設プロジェクトの準備作業を一層加速するため、昨年秋に政府が同計画用に確保した8億7,000万ポンド(約1,632億円)の中から、3億4,100万ポンド(約628億円)を拠出すると発表した。
今年7月に、同じくサイトの準備活動や主要機器の調達、労働力の確保等に1億7,000万ポンド(約313億円)を拠出したのに続く措置。
同サイトを「いつでも建設工事に取り掛かれる状態」にすることで、英国の原子力設備を迅速に拡大していき2050年までに総発電量の最大25%を原子力で供給。
ロシアのプーチン大統領を世界のエネルギー市場から締め出す一助にするとしている。
SZC計画では、サマセット州ですでに建設中のヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所(欧州加圧水型炉:EPR×2基、各172万kW)と同じく、EPRを2基(各167万kW)建設する。
ただし、HPC計画では建設資金の調達方法として差金決済取引(CfD)を適用するのに対し、SZC計画では「規制資産ベース(RAB)モデル」※を用いる予定。
この方式で民間投資を呼び込み、EDFエナジー社には同計画への最終投資判断(FID)を促す方針だ。
同計画ではまた、EDFエナジー社の子会社でプロジェクト企業のNNB GenCo(SZC)社(※今年6月に「サイズウェルC社」に社名変更)が2020年5月、国家的重要度の高いインフラ設備の建設・操業プロジェクトに取得が義務付けられている「開発合意書(DCO)」を計画審査庁(PI)に申請。
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)(当時)のK.クワルテング大臣は2022年7月、PIによる審査結果等に基づき、同計画へのDCO発給を決定している。
DESNZによると、今回の追加投資でサイトでは建設工事が始まる前に、従業員1,500名分のサイト内訓練施設の建設や発電プラントの詳細な設計エンジニアリング、地元コミュニティへの直接投資等への支援が行われる。
このような方策を通じて、英国は2050年までに原子力関係の政府目標を達成し化石燃料の輸入量を削減、エネルギーの自給に向けてその供給を保証していく。
今回の政府発表について、サイズウェルC社のJ.パイク取締役は、「本格的な建設工事の開始に向けて、当社の立ち位置は一層確かなものになった」と指摘。
今後数か月以内に、複数の周辺コミュニティと関係業務を始められるとした上で、「地元住民の方々には、建設プロジェクトの恩恵を出来るだけ速やかに提供したいと考えている。主要な工事が始まるはるか以前から、この地域をより良くするための提案を幅広く示していきたい」と述べた。
(参照資料:英政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
※ 個別の投資プロジェクトに対し、総括原価方式による料金設定を通じて建設工事の初期段階から、需要家(消費者)から費用(投資)を回収するスキーム。
これにより投資家のリスクを軽減でき、資本コスト、ひいては総費用を抑制することが可能になる。
【情報提供:原子力産業新聞】
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