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[米国] 閉鎖したパリセード発電所の再稼働を申請

2023年10月19日

米ホルテック・インターナショナル社は10月6日、ミシガン州で2022年5月に閉鎖されたパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kW)の再稼働を目指し、運転認可の再交付を米原子力規制委員会(NRC)に申請した。


同社は既存の規制の枠内で再稼働に向けた道筋を固めるため、事前にNRCスタッフと複数回にわたり協議を重ねていた。
今回の申請は、同発電所を全面的に復活させるための正式手続きの端緒となる。


米国では市場設計の失敗により、自由化市場環境下で運転する発電所の経済性が悪化。
パリセード原子力発電所を最後に所有・運転していたエンタジー社は2022年5月に同発電所を閉鎖した後、6月には廃止措置を実施するため同発電所を運転認可とともにホルテック社に売却していた。
一方で、同発電所には運転開始後50年以上安全に稼働した実績があり、閉鎖直前には577日間の連続運転を記録するなど、NRCは同発電所を「最も高い安全性を有する原子炉」のカテゴリーに分類。
原子力産業界でも高パフォーマンスの発電所として評価されていた。


ホルテック社は、近年はCO2の排出に起因する環境の悪化等から、各国が炭素負荷の抑制に取り組んでおり、原子力のようにクリーンなエネルギー源が重視される時代となったと説明。
このため同社は、米エネルギー省(DOE)が原子力発電所の早期閉鎖を防ぐために2022年4月に設置した「民生用原子力発電クレジット(CNC)プログラム」に同発電所の適用を申請。
この時は他のプラントへの適用が決定したためパリセード発電所への適用は認められなかったものの、同社は今年2月、再稼働に必要な融資を求めて同プログラムに再度申請している。


ホルテック社が進めるパリセード発電所の再稼働方針については、ミシガン州のG.ホイットマー知事も2022年9月に支持を表明
今年7月には、同発電所の再稼働に1億5,000万ドルの支援を盛り込んだ2024会計年度の州政府予算法案に署名した。
ホルテック社も、同発電所が発電する電力を州内のウルバリン電力共同組合(Wolverine Power Cooperative)に販売するため、今年9月に子会社を通じて長期の電力売買契約(PPA)を締結している。


ホルテック社の予測では、パリセード発電所の再稼働が実現した場合、ミシガン州では無炭素なエネルギーの供給量が大幅に増大するため、送電網の信頼性向上につながるほか輸入エネルギーへの依存度が低下する。
同発電所が雇用する600名以上の従業員には総額8,000万ドルの給与が支払われる予定で、州内にもたらされる2次的経済活動は5億ドル以上の規模。
また、閉鎖前に同社が毎年支払っていた同発電所の固定資産税は1,000万ドルにのぼり、地元最大の納税者として立地エリアの学校や警察、消防署、公園、図書館などに貢献していたという。


ホルテック社のJ.フレミング副社長は、「米国のエネルギー・ミックスの中で原子力は重要な役割を果たしており、ミシガン州においても安全で信頼性の高い無炭素電力を供給している」と指摘。
パリセード原子力発電所では機器・システム等が現在も良好な状態で管理されていることから、「規制基準を満たしながら高い安全性を維持し、供給区域の経済成長やエネルギー供給に持続的に貢献するよう可能性を模索する」としている。


(参照資料:ホルテック社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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