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[フィンランド] 既存炉の運転期間を70年に延長へ

2023年10月25日

フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は10月10日、オルキルオト原子力発電所1、2号機(各BWR、グロス出力92万kW)の運転期間を少なくとも10年延長し、それぞれ約70年とする可能性の分析調査を開始した。
両機の出力増強についても検討を進めており、これら2つの計画が環境等にもたらす影響の評価(EIA)報告書も作成を始めている。
最終的な実施判断は、どちらもEIA報告書の完成後に下す方針である。


両機はスウェーデンのアセア・アトム社(※現在は米ウェスチングハウス社に合併・吸収)が建設した原子炉で、それぞれ1978年9月と1980年2月に送電を開始した。
1号機が当初の運転期間である40年目を迎えた2018年、フィンランド政府は放射線・原子力安全庁(STUK)の見解に基づき、両機の運転期間を20年延長すると決定。
現時点で両機は2038年まで、いずれも約60年間稼働することが許されている。


フィンランドでは近年、クリーン・エネルギーへの移行にともない電力需要の大幅な増加が予想されており、TVOは天候に左右されず常に発電可能な原子力の無炭素電力がこの需要を満たす上で有効だと説明。
オルキルオト1、2号機では運転期間全般を通じて適宜、年次のメンテナンスで機器の改修を行っており、2基合計で年間約5,000万ユーロ(約79億円)の投資を行っているため、機器類は良好な状態で維持されているという。
同発電所ではまた、欧州加圧水型炉(EPR)を世界で初めて採用して着工した3号機(グロス出力172万kW)が今年5月に営業運転を開始したが、TVOは1、2号機の運転期間もさらに延長して無炭素な電力の発電量を拡大、フィンランドや欧州連合(EU)が掲げるCO2排出量の削減目標達成を支援していく考えだ。


オルキルオト1、2号機ではこれまでに、出力増強も実施されており、当初各66万kWだった出力(ネット値)は現在、いずれも89万kWまでアップレートされている。
運転期間の延長に加えて、TVOは両機の出力(ネット値)をいずれも約97万kWに拡大することを計画している。
これにより、両機合計の発電量は年間12億kWh増大する見通しで、これは人口12万~14万人規模の都市が年間に消費する電力量に相当するとしている。


同3号機は、フィンランドで約30年ぶりの新規炉として2005年8月に本格着工したものの、規制文書の確認作業や土木工事に想定外の時間がかかり、臨界条件を初めて達成したのは2021年12月のこと。
その後、2022年3月に国内送電網に初めて接続され、試運転を開始した。
今年の4月中旬から本格的な発電を開始したのに続いて、TVOは5月1日付で同機の営業運転開始を宣言。
同発電所の3基だけで、フィンランドにおける電力需要の約30%を賄っている。


(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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