海外電力関連 トピックス情報
[英国] 英国 原子炉の建設等で韓国との協力を強化
2023年12月11日
英政府のエネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)と韓国の産業通商資源部(MOTIE)は11月22日、民生用原子力分野での協力強化に向け、了解覚書を締結した。
両国間でクリーン・エネルギー関係のパートナーシップを新たに結んだことにともなうもので、この覚書を通じて、英韓両国は両国のみならず第三国でも協力して原子力発電所を建設し、関係技術に投資するための基盤を構築する。
英国原子力公社(UKAEA)と韓国電力公社(KEPCO)の協力促進のための覚書など、両国の政府機関や原子力関係企業が今回結んだ覚書は合計9件。
KEPCOは英国の新規原子力発電所建設事業への参加意思をDESNZに表明しており、これを契機に英国への原子炉輸出に総力を傾けると強調している。
DESNZとMOTIE間の覚書調印は、韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と韓国経済視察団の訪英に合わせ、DESNZのC.クティーニョ大臣とMOTIEのパン・ムンギュ(方文圭)長官が行った。
両国はこれまでに、原子力の平和利用分野における政府間協力協定を1991年に締結したほか、2013年には韓国MOTIEと英国エネルギー気候変動省(DECC)(当時)が民生用原子力分野における商業面の協力について了解覚書を締結。
今年4月には、原子力や再生可能エネルギーなど、クリーン・エネルギーの開発加速やエネルギー供給の確保に向け、これまで以上に緊密に協力していくとの共同宣言を発表している。
両国は今回、エネルギー分野の現行協力を継続する重要性や、民生用原子力発電所がエネルギーの供給保障や地球温暖化への対応で果たす重要な役割に鑑み、官民の両面で原子力関係の協力を強化することを確認。
従来の大型炉や小型モジュール炉(SMR)、その他の先進的原子炉を建設する意欲が双方にあることから、協力して進めていく考えだ。
今回の覚書はMOTIEとDECCが10年前に結んだ覚書に代わるもので、カバー項目は先進的原子炉技術のほかに核融合技術や原子燃料、原子力発電所の新規建設と運転およびメンテナンス、原子力関係プロジェクトへの資金調達、放射性廃棄物管理、廃止措置、安全・セキュリティおよび核不拡散など。
両政府はともに、それぞれの産業界が中心的な役割を担うことを認識しており、政府機関同士や民間企業同士の協力も促進。
英国からは、原子力廃止措置機構(NDA)や今年7月に原子力発電所新設の牽引役として発足したばかりの政府機関「大英原子力(Great British Nuclear=GBN)」、国立原子力研究所(NNL)、英国原子力産業協会(NIA)などが参加。
韓国からは、KEPCOとその傘下企業、韓国原子力産業会議(KAIF)、韓国原子力環境公団(KORAD)などが参加し、双方の協力活動を支援するとしている。
なお、KEPCOの今回の発表によると、同社のキム・ドンチョル社長一行は20日にウェールズで2015年に閉鎖されたウィルファ原子力発電所を訪れており、同発電所の新規原子炉建設用サイトを視察した。
同サイトの諸条件や原子力への地元住民からの支持などを確認したほか、21日には両国原子力産業界の協力に向けたイベントを開催し、双方の政府関係者や関係企業の代表者を前に、韓国製PWR「APR1400」が国内外で成功裏に建設、運転されているとアピール。
22日にはビジネス・フォーラムに参加して、ウェールズ原子力フォーラム(Wales Nuclear Forum)や原子力関係の人材センターであるマクテック・エナジー・グループ(Mactech Energy Group)社と協力強化のための覚書を交わした。
このほか、韓電原子力燃料(KNF)や韓国プラント・サービス(KPS)なども、英国のエネルギー関係のコンサルティング企業であるモット・マクドナルド(Mott MacDonald)社やAB5コンサルティング社、産業設備メーカーのヘイワード・タイラー(Hayward Tyler)社などと覚書を締結している。
(参照資料:DESNZの発表資料①、②、MOTIEの発表資料、KEPCOの発表資料(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
海外電力関連 トピックス情報
公式Twitterアカウントのご案内
海外電力関連 トピックス情報は、以下の電気事業連合会オフィシャルTwitterアカウントにて更新情報をお知らせしております。ぜひ、ご覧いただくとともにフォローをお願いいたします。
- アカウント名:@denjiren