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[カナダ] 加NB州 合計60万kWのSMRを建設へ
2024年1月5日
カナダ北東部のニューブランズウィック(NB)州政府は12月13日、安価なエネルギーを提供しつつ、同州経済の成長とクリーン・エネルギー化の促進を目指した新しいエネルギー戦略「Powering our Economy and the World with Clean Energy — Our Path Forward to 2035 」を公表した。
クリーン・エネルギーへの移行に向け、2035年まで12年間のロードマップも盛り込まれており、原子力に関しては同年までに州内のポイントルプロー原子力発電所(カナダ型加圧重水炉、70.5万kW)内で合計60万kWの小型モジュール炉(SMR)を建設すると表明している。
同戦略のなかでNB州政府は、手頃なエネルギー価格と信頼性の高いエネルギー供給、新たなエネルギー技術や発電戦略等に合せたエネルギー市場改革、および州経済の成長という4点に重点を置いた。
その結果、太陽光や風力などの再生可能エネルギーと、無炭素なベースロード用電源としてSMR等の原子力利用を大幅に拡大する方針を明示。
これらを使って、ピーク時の電力需要に十分応えられる発電設備を州内で確保するほか、水素やバイオ燃料などの新しいエネルギー源を輸送部門に適用、さらなる省エネ対策やエネルギーの効率化を進めていく。
産業部門の電化は温室効果ガスの排出量削減で主要な役割を担うが、州政府の試算によると、NB州では2022年の年間電力需要の145億kWhが、2035年には234億kWhに拡大するため、発電設備を約60%増強する必要がある。
カナダでは商業炉がNB州とオンタリオ州のみで稼働しており、NB州唯一の原子力発電所として州内の発電設備容量の15%を占めるポイントルプロー発電所は、過去40年以上にわたり同州の主要なベースロード用電源だった。
NB州は2022年、オンタリオ州とサスカチュワン州、およびアルバータ州とともに、SMRを開発・建設していくための共同戦略計画を策定。
NB州は、小型でモジュール式のSMRは従来の大型炉と比べて建設コストが低いだけでなく、太陽光など間欠性のある再生可能エネルギー源を補える柔軟なエネルギー源と認識しており、州営電力のNBパワー社と協力して、同社が運転するポイントルプロー発電所にSMRを2035年までに60万kW分新たに建設する。
差し当たり2030年頃までに、最初の15万kW分の運転を開始して電力需要の増加に応えるほか、2035年までに残りを完成させて発電部門の脱炭素化を促す方針である。
NBパワー社はすでに今年6月、ポイントルプロー発電所に米ARCクリーン・テクノロジー(ARC)社製の先進的SMR「ARC-100」(電気出力10万kW~15万kW)を建設するため、ARC社のカナダ法人と協同で「サイト準備許可(LTPS)」をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。
2030年頃に送電開始し60年にわたって運転していく計画で、この「ARC-100」も含めた60万kW分のSMR建設によって、同州の原子力発電設備は2035年に現在の約2倍に拡大する見通し。
これと同時に、同州政府は既存のポイントルプロー発電所の運転効率や信頼性を向上させる考えで、NBパワー社がパートナーらと協力してこれを進めていくとしている。
(参照資料:NB州の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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