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[ウクライナ] フメルニツキー5号機用のAP1000機器購入でWH社と契約

2024年1月11日

ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は12月17日、フメルニツキー原子力発電所4号機(当初の予定はロシア型PWR、100万kW)の建設計画に続いて、同5号機としてウェスチングハウス(WH)社製AP1000を建設するため、同社と原子炉系統の購入契約を締結した。


ウクライナ議会がAP1000の建設に必要な法案を可決・成立させるのを待って、エネルゴアトム社は建設工事の関連作業を開始する。
総工費は50億ドルに達する見通しで、この建設工事により国内では最大9,000名分の雇用が創出されると強調している。


エネルゴアトム社は2021年8月、フメルニツキー原子力発電所で建設工事が中断中の4号機も含め、合計5基のAP1000を建設するためWH社と独占契約を締結した。
同年11月には、フメルニツキー発電所でのAP1000建設に必要な追加契約をWH社と交わしており、4号機のこの変更計画はAP1000のパイロット建設プロジェクトと位置付けられている。
2022年6月になると、同社は国内で稼働する15基のロシア型PWR(VVER)すべてにWH社製原子燃料を装荷するとともに、AP1000の建設基数も合計9基に拡大するため、さらなる追加契約をWH社と結んでいる。


これらの契約締結後、エネルゴアトム社はWH社と共同でプロジェクトの実施に向けた準備作業や設計活動を展開。
ウクライナ政府の今年1月の承認をうけて、実行可能性調査の実施案も作成した。
今回の契約締結は、WH社とのその後の交渉で5号機用の機器購入で好条件が整ったことによる。
5号機の原子炉系統はすでにWH社が製造済みで、納入を待つばかりだという。


今回の契約への調印は、エネルゴアトム社のP.コティン総裁とWH社のP.フラグマン社長兼CEOが会談した後、ウクライナ・エネルギー省のG.ハルシチェンコ大臣が立ち会って行われた。


エネルゴアトム社とWH社の協力関係はすでに長期にわたっており、ウクライナでは2015年から2016年にかけて、100万kW級のVVERが設置されている南ウクライナ原子力発電所やザポリージャ原子力発電所で、WH社製燃料の装荷がすでに開始されている。
また、2022年の追加契約に基づいて、リウネ原子力発電所の40万kW級VVERに今年9月、WH社製の燃料が初めて装荷された。


また、スウェーデンのバステラスでWH社が操業する燃料製造工場では、燃料集合体の製造についてウクライナへの技術移転が続けられている。
コティン総裁はこの件について、「燃料集合体の製造ラインを国内に設置できたため、今後はロシアによる燃料市場の独占体制を打ち崩すことも可能だ」と述べた。


WH社のフラグマンCEOも、「両社の協力関係を一層強化するため、共同エンジニアリング・センターをウクライナに設置する計画がある」と表明。
同センターを通じて両国が共同プロジェクトを進め、連携を強めていきたいとしている。


両社間ではこのほか、WH社製の小型モジュール炉(SMR)「AP300」のウクライナ導入に向けた了解覚書も今年9月に結ばれている。


(参照資料:エネルゴアトム社の発表資料ウクライナ・エネルギー省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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