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[スウェーデン] 原子力拡大に向けフランスとの協力強化
2024年1月11日
スウェーデンの気候・企業省は12月19日、原子力の大規模な拡大政策を円滑に進めるため、原子力分野におけるフランス・エネルギー移行省との協力を長期的に進めていくと発表。
気候・企業省のE.ブッシュ・エネルギー産業担当相とフランスのA.パニエ=リュナシェ・エネルギー移行相が、意向宣言書(declaration of intent)に署名した。
これは、2017年11月と2019年6月に両国がイノベーションや環境問題対策等に関して結んだ戦略協力関係や、今年1月に両国の国家元首が、両国間の戦略協力のなかで民生用原子力分野の協力が重要な役割を担うと共同で決定したことに基づく動き。
原子力分野で豊富な経験を有するフランスの協力により、スウェーデンは2045年までに大型炉で最大10基分の発電設備追加に向けて、資金調達モデルのノウハウをフランスと共有するほか、双方の原子力産業界同士のさらなる協力を促す。
具体的には、既存原子炉の出力増強や運転期間の延長、メンテナンス等でノウハウを共有するとしている。
また、現地の報道によると、両国は燃料サイクルの分野でも協力を促進すると宣言。
欧州域内で原子燃料や核物質の確実な供給体制を確立するため、両国の産業界はロシア産燃料や関係サービスに対する欧州諸国の依存を軽減し、調達先の多様化を図る。
使用済燃料やその他の放射性廃棄物の管理協力も強化する方針で、両国がそれぞれの深地層処分場の着工と段階的な操業開始に向けて、廃棄物の安全かつ長期的な管理方法を開発するとしている。
スウェーデンでは中道右派連合の新政権が2022年10月の政策協議で、環境法に記されている原子力発電関係の禁止事項を撤廃すると決定。
2040年までにエネルギー供給システムを100%非化石燃料に変更するため、2026年までに最大4,000億クローナ(約5兆6,900億円)の投資を行い、新規原子力発電所の建設環境を整えていくとした。
今年1月にはU.クリステション首相がこの環境法の改正を提案し、9月末に政府が提出した同法の改正法案は11月末に議会で承認された。
これにともない、スウェーデンでは既存のフォルスマルク、リングハルス、オスカーシャムの3原子力発電所以外の地点でも、原子炉の新設が可能になったほか、同時に10基以上の稼働が許されることになった。
これらの修正事項は、2024年1月1日付で発効する。
スウェーデン政府はまた、11月中旬に原子炉の新設に向けたロードマップを公表した。
非化石燃料による発電電力を競争力のある価格で安定確保し、社会の電化とともに必要となる総発電量を25年以内に倍増させるため、遅くとも2035年までに大型炉2基分に相当する原子力発電設備を完成させるとした。
また、2045年までには大型炉で最大10基分の設備を新設すると表明している。
スウェーデンでは、フォルスマルクとオスカーシャムの両発電所に一部出資するフィンランドのフォータム社が2022年10月、両国での大型炉や小型モジュール炉(SMR)の建設に向けて、2年計画で実行可能性調査(FS)を実施すると発表。
同年12月にフォータム社は、スウェーデンでSMRの建設機会を模索するとし、地元のプロジェクト開発企業シャーンフル・ネキスト(Kärnfull Next: KNXT)社と了解覚書を締結した。
また今年6月には、スウェーデンおよびフィンランドで、ウェスチングハウス(WH)社製大型炉のAP1000と、SMRであるAP300の建設可能性を探るため、フォータム社とWH社は了解覚書を締結している。
スウェーデン企業も原子力拡大に向けた活動を開始しており、国営電力のバッテンフォール社は11月初頭、リングハルス発電所の西側にSMRを少なくとも2基建設することを念頭に、詳細計画の策定申請書を地元ヴァールベリ市に提出すると発表。
建設に必要な追加分の土地購入手続きも、9月に開始したことを明らかにしている。
(参照資料:スウェーデン政府(スウェーデン語)、議会の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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