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[英国] 英原子力ロードマップ 2050年までに原子力2,400万kW

2024年1月25日

英国政府は1月11日、2050年のCO2排出実質ゼロ(ネットゼロ)へ向けた原子力ロードマップを発表。
2050年までに国内で合計2,400万kWの新規原子力発電所を稼働させ、国内電力需要の4分の1を原子力でまかなうことなどを盛り込んだ、野心的な原子力開発目標への具体策を示した。
2,400万kWの原子力発電設備容量は現在の約3倍にあたり、政府が2022年4月に公表した「エネルギー供給保障戦略」の中で掲げられていた。


エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)はロードマップについて、あるべき原子力開発の道筋を示し、「原子力産業界や投資家に、政府としての明確なシグナルを送る」ことが目的と説明。
「原子力を活用しないかぎり、ネットゼロもエネルギー供給保障も覚束ない」と強調した。


そのうえで、2050年までに2,400万kWの新規原子力発電設備を稼働させるべく、


・建設中のヒンクリー・ポイントC原子力発電所(EPR、172万kW×2基)を2020年代に確実に完成させる
・新しい資金調達方式であるRABモデル※を適用したサイズウェルC原子力発電所(EPR、167万kW×2基)建設プロジェクトへの、EDFエナジー社の最終投資判断(FID)を年内メドに促す
・2030~2044年にかけて5年毎に300~700万kWの原子力発電設備の新設を促す
・新規原子力発電所に関する既存の「国家政策声明書(NPS)」(2011年発行)は、100万kW級の大型炉のみを対象としているため、新たに小型モジュール炉(SMR)も対象としたNPSを策定する
・原子力サイトとして認可された地点の多くで、今後プラントの廃炉を迎えるため、既存サイト以外にも新たな立地点を模索する
──等を実施するとしている。


また、新規建設にあたって最大の障壁となる資金調達に関しては、


・投資家や事業者に対し、差金決済取引(CfD)やRABモデルの適用を検討する
・原子力第三者賠償制度を強化するために、原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)への加盟を目指す
・準備を進めている英国のグリーンタクソノミーに、原子力が含まれるよう働きかける
──等、原子力プロジェクトへの投資のインセンティブを高めていくという。


英国原子力産業協会(NIA)のトム・グレイトレックスCEOは、ロードマップについて、SMRと並行して大型炉プロジェクトも検討するという政府方針を歓迎。
「5年のインターバルで新規原子力プロジェクトを決定することで、将来の予測可能性が高まり、頑健なサプライチェーンが構築される」と指摘している。


※個別の投資プロジェクトに対し、総括原価方式による料金設定を通じて建設工事の初期段階から、需要家(消費者)から費用(投資)を回収するスキーム。
これにより投資家のリスクを軽減でき、資本コスト、ひいては総費用を抑制することが可能になる。

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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