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[世界] 多国間世論調査 世界的に原子力支持高まる
2024年2月1日
米国のエネルギーコンサルタント会社のラディアント・エナジー・グループ社がこのほど発表したクリーンエネルギーに対する多国間世論調査結果によれば、原子力発電を支持する人の割合(46%)が反対の割合(28%)を1.5倍以上上回る結果となり、世界的に原子力に対する支持が高まっている傾向が浮き彫りになった。
同調査は、ラディアント社が英国の市場調査会社サバンタ社に委託して、昨年10月17日から11月14日に20か国の成人20,122名を対象にオンラインで実施したもの。
対象国には、G7やBRICS諸国のほか、2022年の原子力発電量上位14か国や、近年原子炉が3基運転中のアラブ首長国連邦(UAE)、また原子力発電を持たないオーストラリア、イタリア、ノルウェー、フィリピンの4か国が含まれている。
同調査によれば、調査対象となった20か国のうち17か国は、原子力利用に対する支持が反対を上回り、なかでも、中国、ロシア、UAE、インドでは、支持が反対を3倍以上上回る結果となっている。
なお、日本については、反対(40%)が支持(29%)を上回っており、調査対象国中でもブラジル、スペインと並んで支持が低い結果となった。
原子力発電への好感度は、陸上風力発電、バイオマス発電、またはCO2の回収と貯蔵(CCS)を伴うガス発電より高く、「自国のエネルギー転換において重点化すべき電源」を問う設問に対しては、回答者全体の25%が、「原子力を重視すべき」と回答、大規模な太陽光発電に次ぐ支持(33%)を集めた。
気候変動に取り組むために技術的に中立で前向きな見通しを持つ人々は、他のエネルギー源よりも原子力をより好む傾向にあるという。
また、「将来のエネルギー供給に求めるもの」に関する設問では、「信頼性」が最も高く、回答者全体の66%が原子力を信頼できるエネルギー源として評価する一方、半数以上(53%)が「原子力は温室効果ガスをかなりの量、または大量に排出する」と回答。
また、回答者の79%が安全性への懸念を示したが、うち40%が原子力利用を支持し、反対の33%を上回ったことから、「安全性や廃棄物への懸念と原子力支持との相関関係は比較的低い」と分析している。
そのほか、脱原子力を達成したドイツやこれまで脱原子力を標榜していた日本、韓国、スウェーデンの4か国で、原子力が風力や太陽光以上に電気料金の削減に貢献する技術として認識されているとの調査結果が示された。
また、原子力発電国では、原子力発電所の段階的廃止よりも、継続を望む回答者の方が3倍以上多く、また原子力発電を持たない4か国では、原子力発電の禁止よりも、新規建設を望む回答者の方が2倍多かったことなどが明らかとなった。
なお、性別でみると男性の方がすべての対象国で原子力利用の支持が多い。
年齢層別では、大半の国で若年層が原子力利用を最も支持しない傾向にあるものの一貫しておらず、原子力の仕組みについて最も詳しいと自認する人々は、一貫して原子力利用を最も支持していることが分かった。
ラディアント社は、「支持または反対の指標は国民感情を示すものであり、政府がどのように行動することを国民が望んでいるかを示すものではない。どちらかというと原子力利用には反対すると答えた回答者のうち、54%が既存の原子力発電所の運転を継続する政府の政策を支持し、17%が原子力発電所の増設を望んでいる」と指摘する。
【情報提供:原子力産業新聞】
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