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[フランス] 長期の燃料サイクル計画を策定へ
2024年3月26日
フランスの経済・財務・産業及びデジタル主権省のB. ル・メール大臣は3月7日、同国の燃料サイクル戦略を2040年以降も継続することを決定し、既存の燃料サイクルプラントの運転期間を延長し、新たなMOX燃料製造プラントと再処理プラントの研究を開始する計画を発表した。
マクロン大統領が主宰する原子力政策評議会(CPN)は2月26日、閉じた燃料サイクル戦略の継続を明らかにしたが、本発表は、ル・メール大臣、R. レスキュール産業担当大臣がオラノ社のラ・アーグ再処理工場を訪問した際に行われた。
ル・メール大臣は、2040年以降の燃料サイクル戦略目標に向けて次の3つの取組を発表した。
・ラ・アーグ再処理工場とメロックスMOX燃料製造工場の運転期間を2040年以降に延長するための持続可能性および強靭化プログラムの実施
・ラ・アーグ・サイトにおける新たなMOX燃料製造プラント建設に向けた研究の開始
・2045~2050年までに、ラ・アーグ・サイトにおける新たな再処理プラント建設に向けた研究の開始
ル・メール大臣は、「フランスの原子力の歴史に新たな1ページが開かれようとしている。原子力は大規模な国家プロジェクトであり、脱炭素化、エネルギー主権の強化、産業の活性化の中心にある。この戦略で最終的には放射性廃棄物の量を75%削減できる」と強調している。
フランスは原子力開発計画の当初から、使用済み燃料を再処理してウランとプルトニウムを回収・再利用する閉じた燃料サイクルを堅持し、放射性廃棄物の放射能量と処分量の大幅削減を図ってきた。
ラ・アーグ再処理工場で使用済み燃料の再利用可能な質量組成の約96%を分離処理して回収したプルトニウムを、メロックス工場で製造するMOX(混合酸化物)燃料に再利用している。
オラノ社によると、同国の原子力発電量の約10%は現在、MOX燃料起源であり、今後さらに使用済みMOX燃料の再処理により最大約40%にまで上昇する可能性があるという。
MOX燃料には現在、再処理から回収されたプルトニウムのみが使用されている。
再処理による回収ウラン(RepU)は、既存の軽水炉の燃料として再濃縮して利用が可能。
回収ウランの処理は2013年に中断したが、回収ウラン産業の復活に10年をかけて取り組んできた。
同国南東部にあるクリュアス原子力発電所の全4基(各PWR、95.6万kW)では回収ウランの利用が認可されており、2月5日、同発電所の2号機で回収ウラン起源の燃料を全炉心装荷により運転を再開した。
フランスの原子力発電事業者である国営EDFは、2027年から130万kW級の原子炉で回収ウラン利用を計画しており、2030年代には毎年装荷される燃料の30%以上を占める見込みである。
これは、今後数十年で天然ウラン資源25%の節約に匹敵する。
なお、オラノ社傘下のオラノUSA社は2月28日、持続可能なエネルギーソリューションに取り組む米国のシャイン・テクノロジー社と軽水炉の使用済み燃料を再処理するパイロット施設を米国で共同開発する協力覚書を締結した。
パイロット施設のサイト選定を年末までに行う考え。
年100トンの処理能力を有し、再処理・回収された核物質は既存炉や新規炉の燃料に再利用し、再処理過程で抽出された放射性核種は産業や医療に利用する。
2030年代初頭に運転を開始する計画だ。
米国は1960年代には使用済み燃料の再処理・再利用の最前線にいたが、1972年にプログラムを停止している。
【情報提供:原子力産業新聞】
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