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[フランス] 仏EDF グリーンローンで運転延長の資金調達

2024年5月30日

フランス電力(EDF)は5月13日、既存炉の運転延長に向けて、総額約58億ユーロ(約9,838億円)のグリーンローン契約を締結した。
BNPパリバ、バンク・オブ・アメリカ、クレディ・アグリコル・CIB、ING、ナティクシスCIB、ソシエテ・ジェネラル、ウェルズ・ファーゴなどの主要な国際銀行と融資契約が交わされた。


今回の既存炉の運転延長に係るグリーンローン契約について、EDFは、環境上の持続可能性を備えたグリーン事業への投資基準である「EUタクソノミー」に沿ったものと指摘している。
2022年7月、欧州議会は、「EUタクソノミー」に一定条件下で原子力関係の活動を加えることを承認している。


エネルギーミックスの約87%(2023年実績)を原子力発電に頼るフランスでは、ほとんどの原子力発電所が1970年代前半に起きたオイルショックを契機としてわずか15年ほどの間に建設されている。
EDFは2011年、既存炉を維持し運転期間40年を超える炉については経年化対策を施すため、「グラン・カレナージュ」と呼ばれる運転延長プログラムを発表した。
短期間のほぼ同じ時期に全ての炉が寿命を迎えて停止することを避けるのが目的。
EDFは2025年までに約550億ユーロ(9.33兆円)を投じて原子炉性能を向上させ、40年を超えた運転が可能になるよう計画した。
このプログラムには、福島第一原子力発電所事故に対応した安全性向上も含まれている。


同プログラムへの投資額は2018年に最適化され、450億ユーロ(約7.63兆円)に修正、2020年には494億ユーロ(約8.38兆円)に再度修正された。
2022年11月、EDFとクレディ・アグリコル・CIBは、運転延長対策向けに10億ユーロ(約1,690億円)のグリーンローン契約の締結を発表している。


フランスでは商業炉の運転期間に規定がなく、国内56基の商業炉すべてを保有・運転するEDFが環境法に基づいて10年毎に詳細な定期安全審査を実施し、次の10年間の運転継続で課題となる設備上のリスクへの対応策等を検討。
原子力安全規制当局(ASN)がこれらの対応策を承認し、関係要件がクリアされると判断すれば、次の10年間の運転許可が付与される。
定期安全審査ではまず、「包括的評価段階」で対象炉に共通する事項をレビューした後、「各原子炉に特有の事項」をレビューする。


ASNは2021年2月、1970年代~1980年代にかけて運転を開始した最古の90万kW級PWRの運転期間を50年に延長するための諸条件を決定した。
対象炉はルブレイエ発電所の4基、ビュジェイ発電所の4基、シノンB発電所の4基、クリュアス発電所の4基、ダンピエール発電所の4基、グラブリーヌ発電所の6基、サンローラン・デゾーB発電所の2基、およびトリカスタン発電所の4基の計32基で、「包括的評価段階」のレビューを完了。
2031年までにすべての対象炉で個別の評価を行い、4回目となる10年毎の定期安全審査を終える予定である。
2023年8月、南フランスのトリカスタン発電所の1号機は、4回目の定期安全審査が完了し、40年を超える運転がASNに認可されたフランス初の商業用原子炉となった。

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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