電磁界の健康への影響
電磁界の健康影響に関しては、国内外の専門機関が総合的な評価を行なっており、総じて「居住環境における電磁界が人の健康に有害な影響を及ぼすとは認められない。」という報告となっています。
今後も電磁界の影響について科学的に信頼性のあるデータを蓄積して、社会の理解を得ることを目的として、電磁界の健康への影響に関する調査・研究を続けていきます。
発がん性評価
2001年に国際がん研究機関(IARC)が電磁界の人に対する発がん性を評価し、50Hz(ヘルツ)や60Hzを含む超低周波電磁界を以下のとおり分類しています。
分類 | 根拠 | |
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電界 | グループ3 (人への発がん性について分類できない) |
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磁界 | グループ2b (人にとって発がん性があるかもしれない) |
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注)IARCの発がん性評価は、その物質の発がん性の可能性について分類したもので、発がん性の強さを評価したものではありません。
IARCによる発がん性分類
分類 | 分類事例 | |
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グループ1:発がん性がある。 (carcinogenic to humans) |
アスベスト、ダイオキシン、たばこ(能動、受動)、アルコール飲料、ガンマ線、エックス線、紫外線、太陽光、ディーゼルエンジン排ガス | 113種 |
グループ2a:おそらく発がん性がある。 (probably carcinogenic to humans) |
PCB、鉛化合物(無機)、クレオソート(木材の防腐剤)、アクリルアミド | 66種 |
グループ2b:発がん性があるかもしれない。 (possibly carcinogenic to humans) |
クロロフォルム、鉛、コーヒー、漬物、ガソリン(排ガス含む)、超低周波磁界、無線周波電磁界 | 285種 |
グループ3:発がん性を分類できない。 (cannot be classfied as to carcinogenic in humans) |
カフェイン、原油、水銀(無機)、静磁界、静電界、超低周波電界 | 505種 |
グループ4:おそらく発がん性はない。 (probably not carcinogenic to humans) |
カプロラクタム(ナイロンの原料) | 1種 |
2013年10月現在
電磁界への基準
国際的な機関や学会等で基準が作成されていますが、送電線から発生する電磁界はこれらの値と比べて非常に小さなものとなっています。
電界
機関名 | 名称 | 見解 | 送電線電界 |
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世界保健機関 (WHO) |
環境保健基準第35巻(1984年) | 10kV/m以下の電界では、立ち入りを制限する必要はない。 | 0.1~3(kV/m)、(送電線下) |
国際非電離放射線防護委員会 (ICNIRP) |
時間変化する電界および磁界へのばく露制限に関するガイドライン[1Hzから100kHzまで](2010年) | 職業者:10kV/m(50Hz) 8.3KV/m(60Hz) 一般公衆:5kV/m(50Hz) 4.2KV/m(60Hz) |
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経済産業省 (旧通商産業省) |
省令「電気設備に関する技術基準」第27条(1976年) | 人が容易に立ち入る場所の地表1mにおいて3kV/m以下とする。 |
磁界
機関名 | 名称 | 見解 | 送電線磁界 |
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世界保健機関 (WHO) |
環境保健基準第69巻(1987年) | 5000μT以下の磁界では、有害な生物学的影響は認められない。 500μT以下の磁界では、いかなる生物学的影響も認められない。 |
0.1~20(μT) (送電線下) |
国際非電離放射線防護委員会 (ICNIRP) |
時間変化する電界および磁界へのばく露制限に関するガイドライン[1Hzから100kHzまで](2010年) | 職業者:1000μT(50、60Hz) 一般公衆:200μT(50、60Hz) |
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世界保健機関 (WHO) |
ファクトシート No.322 |
100μTよりも遥かに高いレベルの磁界への短期的曝露は、神経及び筋肉への刺激等の生物学的影響が生じる。このため国際的な曝露ガイドライン(ICNIRP等)を採用すべき。
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経済産業省 | 省令「電気設備に関する技術基準」第27条の2(2011年) | 人が容易に立ち入る場所において200μT以下とする。 |