負荷平準化とは、時間帯や季節ごとの電力需要格差を縮小する努力です。電気は常にピーク需要にあわせて設備を建設しなければならず、格差の拡大は設備の利用率を低下させ、電気をお届けするコストの上昇につながります。電力会社は、さまざまな方法によって、格差の縮小に取り組んでいます。
電源の特性に応じた組み合わせ
電気の使用量は変化しますが、電気は貯めておくことができないので、常に消費される電力量と同じになるよう発電量を調節しなければなりません。電力会社は、刻一刻と変化する電力需要に応えるため、1日の中でもさまざまな発電方式を組み合わせています。
日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集
- ピーク電力への対応
電気がたくさん使われる昼間は、発電所も大量の電気をつくらなければなりません。変動する電力需要への対応に優れている石油火力や揚水式水力発電によって、ピーク電力に備えています。
- ベース電力をまかなう
一方、ベース電力は発電コストや環境負荷を考え、原子力発電や水力発電(流れ込み式)によってまかなっています。
- 電源を組み合わせて使う
日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っています。限りある化石資源や、地球環境問題、さらに経済性なども考えながら、今後も安定的に電気をお届けするために、一つの電源に頼るのではなく、水力、火力、原子力などの各発電の特性を活かし、リスクを分散させて資源をバランスよく組み合わせていきます。
負荷平準化のための3つの対策
負荷平準化、つまり電力消費量の山(ピーク)と谷(ボトム)の差を縮めるためには、山を低くし、谷底を持ち上げることが一つの方法です。ピークシフト、ピークカット、ボトムアップというおおよそ3つの対策が考えられます。
- ピークシフト
工場などの操業日や時間を計画的にずらしたり、蓄熱を利用し、昼間利用する冷暖房の熱を夜間に蓄えていただく方法などがあります。
- ピークカット
ピーク電力をおさえるために、電気の利用を調整していただくものです。身近なところでは、冷房の設定温度を低すぎないように設定することも、ピークカットにつながります。
- ボトムアップ
電力消費の少ない深夜に、電気を有効に使っていただくものです。
これら3つの対策を念頭に、負荷率平準化のための料金制度や機器の普及促進を行っています。エコキュートや深夜電気温水器の推奨も負荷平準化への取り組みの一つです。
負荷平準化のための料金制度
設備利用率の向上、供給コスト低減の観点から、電力需要の季節や時間帯ごとの格差を縮小するため、電力会社はさまざまな電気料金制度や多彩な契約メニューを設定し、お客さまにお選びいただけるようにしています。