使用済燃料からエネルギー資源として再利用できる物質を取り出す「再処理」によって、ウラン燃料のリサイクルは初めて実現します。再処理は、原子燃料サイクルの要です。
再処理の利点
再処理によって、使用済燃料に含まれるウランとプルトニウムは回収された後、再び燃料に加工され、新たな資源としてよみがえります。
また、使用済燃料を再処理することで、資源として再利用できない核分裂生成物のみを取り出し、ガラス固化体にするため、高レベル放射性廃棄物の体積が約4分の1になります。これにより直接処分に比べ、処分施設の面積を約2分の1~3分の1に縮小することができます。さらに、ガラス固化体からは、ウランやプルトニウムが除かれるため、天然ウラン並みの有害度になるまでの期間が約12分の1に低減されます。
日本には、茨城県東海村に(独)日本原子力研究開発機構が技術開発を行いながら運転している再処理工場があります。しかし、年間の処理量が210トンと小規模なため、これまでは、イギリスとフランスに再処理を委託してきましたが、エネルギーセキュリティなどの観点から、青森県六ヶ所村に日本原燃(株)が再処理工場を建設しており、2026年度中の竣工を目指し作業を進めています。
日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集
再処理の工程
- 1.受入・貯蔵
各発電所から運ばれてきた使用済燃料は、燃料貯蔵プールで冷却貯蔵します。
- 2.せん断・溶解
使用済燃料を長さ約3〜4cmの小片に切断した後、溶解槽で、硝酸により溶かされます。
- 3.分離
使用済燃料を、リサイクルできるウランとプルトニウム、核分裂生成物に分離します。核分裂生成物はガラス固化し、高レベル放射性廃棄物として安全に保管します。
- 4.精製・脱硝酸
分離されたウランは硝酸ウラン溶液に、プルトニウムは硝酸プルトニウム溶液に精製されます。その後、硝酸プルトニウムに硝酸ウラン溶液の一部を加えたのち、それぞれから硝酸を取り除いて酸化物にします。
- 5.製品貯蔵
再処理されたウラン酸化物とウラン・プルトニウム酸化物は、それぞれ専用の容器で貯蔵されます。