原子炉にはいくつかのタイプがありますが、日本では、米国で開発された「軽水炉」というタイプを使っています。現在、世界でもっとも広く使われているタイプの原子炉です。

原子炉の種類は、使用する減速材、炉心から熱を取り出す冷却材などによって区別されています。わが国の原子力発電所では、米国で開発された「軽水炉」と呼ばれる原子炉が採用されています。この原子炉は軽水(普通の水)が減速材と冷却材に兼用されているのが特徴で、燃料には濃縮ウランを用います。軽水炉は世界の原子力発電の主流となっており、蒸気を発生させるしくみの違いによって沸騰水型炉(BWR)と加圧水型炉(PWR)の2種類に分けられますが、核分裂の方法や減速材として水を使う点は、どちらの形式も同一です。

沸騰水型炉(BWR =Boiling Water Reactor)のしくみ

原子炉圧力容器に入っている燃料が核分裂することにより、周りの水が熱せられます。すると水は蒸気になり、そのままタービンに送られて発電機を回します。このため構造はシンプルですが、蒸気は放射性物質を含む水からつくられているため、タービンや復水器についても放射線の管理が必要となります。

BWRに改良を加えたのが、改良型沸騰水型炉(ABWR =Advanced Boiling Water Reactor)と呼ばれるものです。ABWRは、従来は原子炉圧力容器外に設置していた原子炉再循環ポンプを圧力容器内に設置したもので、原子炉再循環ポンプの周辺配管をなくして、単純化しました。また、制御駆動用動力源として、BWRの水圧動力源に加えて電動動力源を追加し、緊急時の安全性をより向上させています。

加圧水型炉(PWR =Pressurized Water Reactor)のしくみ

原子炉圧力容器であたためた水は、BWRよりも高い圧力で一次系統の配管を循環します。この高温・高圧の水から熱だけを蒸気発生器で二次系統の配管を流れる水に伝え、蒸気となったところで、タービンを回します。放射性物質を含んだ水がタービンや復水器に行かないため、タービンなどの発電部分に関するメンテナンス性がBWRよりも向上しています。

日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集

出典:加圧水型炉(PWR)原子力発電のしくみ

三菱重工業/製品情報、三菱重工技報

詳細:加圧水型原子力発電プラント
専門情報:1100MWe級最新3ループPWRプラントATMEA1(TM)の概念と特徴
詳細:三菱改良型PWRプラント(APWR)
専門情報:次世代PWR-環境にやさしく高効率で経済的な,3S(Safety, Security, Safeguard)を実現する自律型プラントの開発-
詳細:革新軽水炉 SRZ-1200

日本原子力文化財団/原子力総合パンフレットWeb版

詳細:原子炉の種類
詳細:原子力発電所の構成

三菱重工業/三菱重工業技報2022年

専門情報:カーボンニュートラル達成に向けた原子力事業の取組み

三菱重工業/三菱重工業技報2009年

専門情報:1100MWe級最新3ループPWRプラントATMEA1(TM)の概念と特徴
専門情報:世界のエネルギーセキュリティを確保する高速増殖炉の実用化に向けた取組み

日立GEニュークリア・エナジー

詳細:研究開発・新型炉
詳細:革新軽水炉 Hi-ABWR
詳細:小型軽水炉 BWRX-300
専門情報:新型原子炉開発に向けた日立GEニュークリア・エナジーの取り組み【日立評論 2023.03】
専門情報:カーボンニュートラルに貢献する革新的新型炉の開発【日立評論 2023.01】
専門情報:革新軽水炉 Highly Innovative ABWRの実現に向けた取り組み【日立評論 2024.02】
専門情報:高経済性小型炉BWRX-300の早期実用化に向けた取り組み【日立評論 2024.02】
専門情報:日立、現場データの収集技術や生成AIを活用した「現場拡張メタバース」を開発【日立製作所HP 2023.12】

東芝/東芝レビュー 2023.03

専門情報:社会と共生しエネルギー安定供給を可能とする革新軽水炉 iBR

日立製作所

詳細:多様化するニーズに応える日立の新型原子炉
専門情報:日立GE革新軽水炉(HI-ABWR)に向けた負荷追従運転技術を開発
専門情報:日立GE革新軽水炉(HI-ABWR)に向けた放射性物質閉じ込め技術を開発