貯蔵能力拡大の具体例
使用済燃料プールの貯蔵能力拡大や乾式貯蔵施設の設置などの対策を図っています。
貯蔵対策の具体例
リラッキング(使用済燃料プールの貯蔵能力の拡大)
リラッキングとは使用済燃料を収納するラック(収納棚)をステンレス鋼製から中性子吸収材であるホウ素を添加したステンレス鋼製に変更し、使用済燃料プールの大きさを変えることなく、ラックの間隔を狭めることで、使用済燃料の貯蔵能力を増やすことです。
また、除熱や放射線の遮へいは、プールの水で変わりなく行えることを確認しています。なお、福島第一原子力発電所の事故を踏まえた安全性向上対策の一環として、使用済燃料プールへの代替注水設備を追加するなど、安全性の向上を図っています。


使用済燃料の貯蔵能力拡大とその具体例
乾式貯蔵施設の設置
原子力発電所の敷地内外に、使用済燃料を収納するキャスクを保管するための建屋を設置することで、使用済燃料の貯蔵能力の拡大を図ります。
キャスクは放射性物質の閉じ込め、放射線の遮へい、臨界防止、除熱の機能を備えており、乾式貯蔵施設で安全に貯蔵、管理します。
日本原子力発電 東海第二発電所の例
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所在地:茨城県那珂郡東海村
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貯蔵方式:乾式貯蔵方式
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貯蔵容量:約250tU
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運用開始:2001年
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建屋規模:54m×26m×(高さ)21m

リサイクル燃料備蓄センター(中間貯蔵施設※)の例
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所在地:青森県むつ市
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貯蔵方式:乾式貯蔵方式
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貯蔵容量:最終貯蔵量5,000tU(1棟目3,000tU)
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貯蔵期間:施設毎に50年間
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建屋規模:約131m×約62m×(高さ)約28m
- ※中間貯蔵施設とは、発電所敷地外に設置する乾式貯蔵施設のこと

キャスクの安全性
キャスクの構造
キャスクは使用済燃料を安全に貯蔵するため、4つの安全機能(閉じ込め、遮へい、臨界防止、除熱)を備えています。また、海外でも数多くの採用実績があります。
《閉じ込め機能》
二重のふたに、金属製のパッキン(ガスケット)を挟んで、密封性を保持
《遮へい機能》
キャスク胴体は、ガンマ線遮へい層と、中性子線遮へい層を備え、放射線をキャスク内の100万分の1まで減衰
《臨界防止機能》
バスケットと呼ばれる仕切り板で、使用済燃料の臨界(核分裂の連鎖反応)を防止
《除熱機能》
使用済燃料から発生する熱を伝熱フィンなどを通じて表面に伝え、外気で冷却

キャスクの安全確保と運用
特別な条件下での安全性
輸送にも使用される乾式キャスクは、IAEAの輸送規則や国内の法令に基づいて、輸送中に想定されるさまざまなトラブルに対しても安全機能が損なわれることがないことを確認しています。

キャスクの輸送について