日本の電気事業の歴史を、当時の情勢とともに紹介しています。
明治時代(1868~1911年)
文明開化の時代、電気の登場
長い鎖国の時代が明け、西欧の文明に驚きと感動の連続だった文明開化の時代、街にはモダンな西洋文化があふれます。その象徴の一つが電灯照明。1882年(明治15年)に東京・銀座に灯された日本初の電灯(アーク灯)には、連日大勢の人が見物に訪れました。初めての発電所が登場し、電灯は東京を中心に急速に普及します。さらにエレベーターや電車など、電気は動力用としても利用され、次々と発電所が建設されていきます。
大正から昭和へ(1912~1945年)
富国強兵の時代、電力会社の編成
第1次世界大戦から太平洋戦争に至るまでのこの時代、軍需景気にわき工場動力の電化が進みます。東京市内の家庭には電灯が完全普及。ラジオ放送が始まり、百貨店も開店しました。しかし人々の生活は関東大震災(1923)や相次ぐ戦争に翻弄されます。戦雲の漂うなか電力は国家に管理され、太平洋戦争に突入した後には「ぜいたくは敵だ」の声のもとに電力消費規制が行われます。
昭和後期-1(1946~1969年)
戦後の復興と高度経済成長、大規模電源開発の時代
終戦を迎え、日本国憲法の公布とともに生まれた新しい日本は、戦後の窮乏を乗りこえ、豊かな生活を求めて目ざましい経済成長を遂げます。娯楽の少なかった人々はテレビのヒーローに熱狂し、皇太子の結婚によりその興奮は頂点に達しました。3種の神器が登場し、家庭には次々と電化製品が普及。1964年の東京オリンピックを機に、日本は経済大国への道を歩み出します。同時に、高まる電力需要に応えて大規模な電源開発が始まります。
昭和後期-2(1970~1988年)
繁栄の時代、原子力の開発
1973年、OPECが石油の大幅値上げを発表するやいなや、石油ショックが人々の暮らしを直撃しました。高度経済成長に警鐘を鳴らされた日本は、エネルギー資源を石油に依存することを改め、バランスのよい電源構成を目指します。石油の代替エネルギーとして有望な原子力発電所は70年代に次々と稼働。エアコンやコンピューターなど電化製品が多様化、大型化し、急増する電力需要に対応します。
平成時代(1989年~)
環境の時代、21世紀に向けて
激動の昭和に代わる平成の世。バブルの崩壊により経済成長は停滞します。それでも人々のライフスタイルの変化などにより、民生用の電力消費量は増え続けます。阪神・淡路大震災による停電はライフラインを寸断し、改めて電気の必要性を認識させました。また、科学がますます発達する一方で、環境問題が深刻化します。限りある資源を有効利用するリサイクルなど、美しい地球を未来に残すための努力が始まります。