6. 電気事業体制

国有企業を分割民営化:現在は大手6社に集約

英国では、1990年に、電力自由化と同時に国有電気事業者の分割・民営化が実施された。それまで発電と送電を独占していた国有の発送電局(CEGB)は発電会社3社と送電会社1社に分割・民営化された。また独占供給を行っていた12の国有配電局も民営化され配電会社となった。

また、自由化によって新規参入が相次ぎ、2018年3月時点で発電会社約158社、小売会社約241社(ライセンス所有者数)が事業を展開している。ただし、これらのライセンス所有者には、1社でライセンスを複数所有していたり、系統への電力販売を主目的としない自家発、発電・供給を開始していない会社も含まれており、実際に事業を行っている会社は半数にも満たない。

この民営化・自由化による競争の進展とともに、M&Aが活発化し、英国の大手電力会社はドイツ、フランス、スペインの大手エネルギー会社に買収された。この内、CEGBから分割されたイノジー社、パワジェン社はそれぞれドイツのRWE、E.ONに、また、スコティッシュ・パワー社はスペインのイベルドローラに、さらに、原子力発電会社のブリティッシュ・エナジー社はフランスのEDFにそれぞれ買収された。

12の配電会社(小売事業)も、その多くがこれらエネルギー会社の傘下に入った。その結果、英国の旧国有電気事業者(送電部門を除く)は、RWE系(ドイツ)、E.ON系(ドイツ)、EDF系(フランス)、SSE系(英国)、イベルドローラ系(スペイン)の5大グループに集約された。これに電力市場でシェアを伸ばしている旧国有ガス事業者(ブリティッシュ・ガス)が加わり、英国の電力市場は6大グループ(ビッグ6)に集約され、これらが小売市場で80%(2017年)、発電市場で65%(2016年)のシェアを占めている。

また、英国では電力自由化に先立って、ガス市場も自由化されたことから、これらの大手電力会社はガス事業にも進出しており、電気とガスの販売を行っている。

M&Aの理由としては、顧客ベースの拡大を狙った供給部門間の水平統合、価格リスクをヘッジするための発電と供給の垂直統合等がある。送電・配電のネットワーク部門では、前述の分割民営化で所有分離された送電会社が、後にガス導管網会社と合併した。また配電会社間の資本統合や経営統合等が行われる等、スケールメリットを追及した再編が行われた。

系統運用:所有分離されたNGET が運用

前述のように、英国(イングランド・ウエールズ地方)の国有送電部門は、分割民営化によって所有分離され送電会社となった後、ガス導管網会社と合併し、現在は送電とガス導管事業を行うナショナル・グリッド社(NGC、持ち株会社)となっている。

イングランド・ウェールズ地方の送電設備は、NGCの送電子会社(NGET)が所有する一方、スコットランド地方はスコティッシュ・パワー社の送電子会社(SPT)、スコティッシュ・サザン・エナジーの送電子会社(SHET)が所有している。これら3社の送電系統の運用は、NGET社の系統運用部門が「単一系統運用者」(SO)として実施している。

一方、配電部門は地域毎に14社(DNO)あり、それぞれが管轄する地域で配電設備を所有・運用している。さらに、DNOの管轄地域内で、DNOの配電系統に接続する形で系統を所有・運用する独立配電事業14社(IDNO)が存在する。
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