3. 再生可能エネルギー導入政策・動向

風力、太陽光を大量導入

政府は再エネ開発推進のため、1991年に「電力買取法」、さらに2000年には「再エネ開発促進法」(EEG)を制定した。EEGにより「固定価格買取制度」(FIT)が導入され、電力会社に対して再エネ電源からの発電電力を高い価格で買い取ることが義務付けられた。

その結果、特に陸上風力開発の進展は目覚しく、設備容量は1990~2016年の間に約800倍に増大し、2016年末には4,541万kWの規模に達している。

政府は今後、風力発電設備のリパワリング、および洋上風力の導入を中心にさらに開発を進め、陸上風力は年間250万kW、洋上風力は2020年までに650万kWを導入する計画である。

また、太陽光の導入も急速に進展してきた。住宅に太陽光発電パネルを設置するケースに加え、大規模なソーラー発電所(メガソーラー)の建設も進められており、2016年末には4,087万kWに達している。しかしながら、買取価格の引き下げにより太陽光の新規設備導入量は年々減少しており、2014~2016年にかけては年間導入目標の250万kWを下回っている。

需要家負担急増で制度手直しに着手

再エネ大量導入は、消費者の費用負担を急増させている。2018年には一般家庭の再エネ電源導入費用の負担額は月額20ユーロ(約2,600円)を超え、電気料金支払額の約23%を占める見通しである。FITが導入された2000年当初と比較すると再エネ電源導入費用の負担は約34倍になっており、ドイツ政府も取り組むべき重要課題のひとつとして再エネ補助による需要家負担の抑制を挙げていた。

ドイツ政府は従来の再エネ補助制度を見直し、2015年から大型の太陽光発電設備(100kW~1万kW)を皮切りに、競争入札制度を導入した。同制度においては、再エネ発電事業者が補助金の単価を算定するための基準値※を入札する。入札価格が低い事業者から落札され、募集容量に達したところで終了となる。従来の再エネ補助制度では、申請すれば誰でも補助を受けることができたが、競争入札では落札されなければ補助の対象とならない。このため、事業者間で競争圧力が働き、補助の水準が下がることが期待されている。実際、2015年4月に実施された太陽光の第1回入札では、平均落札価格が9.17ユーロ・セント/kWhであったが、2018年2月の入札(750kW超の太陽光設備が対象)では4.33ユーロ・セント/kWhまで低下した。
※基準値から前月の月間平均卸電力価格を引いた価格が補助額となる。発電事業者は卸電力市場で再エネ電力を売り、その売電収入に加えて補助金を受け取る。

入札制度の対象は、2017年には750kW超のすべての再エネ電源に拡大されている(バイオマスについては150kW超~)。

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