2. 地球温暖化防止政策動向

2013年からGHG削減対象国

韓国は、前述のように1993年に「気候変動枠組条約」(UNFCCC)を批准したが、「UNFCCC付属書Ⅰ締約国」ではないため、温室効果ガスの削減は義務付けられていなかった。しかし、2007年の「気候変動枠組条約・第13回締約国会議」(COP13)で、2013年から温室効果ガス(GHG)の削減対象国になることが決定した。

 

省エネ、再エネ、原子力を推進:排出量取引制度も導入

この決定以前から韓国は様々なGHG削減対策を実施している。1997年には官民合同の「省エネルギー委員会」(NCEC)を設置し、「GHG排出量削減行動計画」を策定したほか、同年に国連とアジア開発銀行(ADB)が協賛する「最小費用でGHGを低減するためのアジア戦略」(ALGAS)に参加、さらに1998年には「気候変動枠組条約に関する関連省庁合同委員会」(IMCCCC)を設置し、京都メカニズムに沿った「包括的行動計画」(CNAP)を策定している。その後、CNAPに基づき、2000年には「持続可能な開発に関する大統領委員会」(PCSD)が設置され、省エネルギーの推進をはじめ、原子力や天然ガス、再エネの利用、CDM事業などを促進している。再エネの開発に対しては、補助金(原資は石油税と天然ガス税)を支給している。

また、2007年には「気候変動対応・新国家戦略」が作成され、排出量取引市場を開設することが決定した。取引市場は、エネルギー管理公団(KEMCO)に登録した企業が、同公団が発行する排出枠によって取引を行うシステムで、排出枠を取得した企業は、韓国電力公社(KEPCO)の発電子会社や地域暖房公社などのエネルギー関連の政府系企業に排出枠を販売することになる。政府系企業は、再エネによる供給量の目標が達成できなかった場合、排出枠の購入が義務付けられている。

GHG削減対象国としてさらに対策強化:2030 年に2005 年比30%減

韓国は現在、GHG削減対象国として、さらなる削減対策を実施している。

政府は、2007年に「気候変動第4次総合対策」(2008~2012年)を策定し、主要な産業やコジェネ事業者に対して削減目標を設定するとともに、再エネ事業者に対しては供給目標を設定した。すなわち、鉄鋼や自動車などの大規模企業に対しては2005年比で3.2%(約180万トン)の削減、またコジェネ事業者に対しては3,000万トンの削減が義務付けられた。また、再エネについては、2030年までに一次エネルギーの9.0%を再エネで供給することが目標として掲げられた。

さらに、2009年には「低炭素グリーン成長国家戦略」が策定され、2030年のGHG削減目標を2005年比30%減とする一方、2030年の再エネ比率を11.0%に引き上げた。

政府は、今後、排出量取引市場を拡大させるとともに、現在の環境税を炭素税に転換し、GHG排出量が多い企業の税負担を引き上げることなどを検討している。

2010年には「低炭素グリーン成長基本法」が制定され、2015年から「総量制限排出量取引制度」を実施することが決定した。同制度は2012年から一部の大規模企業を対象に試験導入された。2015年1月からは本格導入され、政府がCO2排出割当量を決定した大手企業525社を対象に、割当量を超える排出を行った企業が超過分を韓国証券取引所(KRX:Korea Exchange)が管理する「温室効果ガス排出権取引市場」(CTM:Carbon Trading Market)で調達することとなった。政府は、温室効果ガスの削減を図るため、今後、段階的にCTMで取引する企業数を拡大する予定である。

なお、政府は、2015年12月にパリで開催された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第21回締約国会議」(COP21)で、2030年のGHG排出量を2005年BAU比(対策を講じない場合の排出量比)で37%削減することを公表した。この目標を達成するため、政府は、現在、新たな戦略を作成中である。
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