原子力は石炭と並んで重要な電源
韓国は化石燃料依存の低減、気候変動対策として、原子力発電開発を推進してきている。1978年に古里発電所1号機が運開して以来、2015年末現在6サイトで合計24基2,170万kWが稼働しており、2015年には発電電力量の31.2%を賄った。炉型は、古里1~4号機(310万kW)、韓蔚1~6号機(590万kW)、韓光1~6号機(590万kW)、新古里1~2号機(200万kW)および新月城1~2号機(200万kW)は軽水炉(PWR)であるが、月城1~4号機(280万kW)はカナダAECL製の重水炉(PHWR)である。
国内開発に加えて原子炉輸出も促進、ただし新政権が国内の原子力発電所の建設中止を検討中
韓国の原子力開発推進政策は福島事故後も大きな変更はない。既設の炉については、韓国原子力安全委員会(NSC)が安全性の確認や補強工事、耐震設計基準の見直しなどを進めている。また、今後も新規建設を推進してゆく方針である。2014年策定の「第2次・エネルギー計画」では、2035年の原子力発電比率を、発電設備容量で29%に、発電電力量で30%に引き上げることが目標として掲げられている。このため、今後、100万kWや140万kW級の原子力発電プラントを合計7~8基建設することが計画されている。
政府は、原子力発電に対する立地地域の住民の理解を得るため、「地域共存型の原子力発電所建設」と名付けた施策を掲げ、様々なPA活動を実施している。
また、政府は原子力産業を輸出産業に育てる方針であり、第三世代型原子炉(140万kW級APR+)の技術開発を進めるとともに、原子炉の海外への売り込む活動を積極的に展開している。2009年にはアラブ首長国連邦(UAE)からAPR1400(140万kW)4基の建設を受注した。
しかしながら、2017年5月に誕生した文在寅政権は、同大統領の選挙公約に従い、現在、原子力発電所の建設中止などを検討している。なお、検討結果は、作成中の「第3次・エネルギー計画」、あるいは同計画を基にした「第8次・長期電力需給計画」に反映されることになる。