5. 電源開発状況

電源は火力と原子力が中心

韓国の電源の中心は火力と原子力である。2015年の電源構成(電気事業者所有分)は、火力65.4%(石炭火力28.0%、ガス火力33.0%、石油火力4.4%)、原子力22.2%、水力6.6%、再エネが5.8%となっている。また、発電電力量では、火力63.8%(石炭火力38.7%、ガス火力19.1、石油火力6.0%)、原子力31.2%、水力1.1%、再エネが3.1%と、石炭火力と原子力で69.9%を占める。

石炭火力、ガス火力、原子力を中心に電源開発推進、ただし新政権が国内の原子力発電所の建設中止を検討中

中期的な電源開発計画としては、2015年に産業通商資源部(MOTIE)が発表した「第7次・長期電力需給計画2015~2029」がある。

同計画によると、今後、デマンドサイド・マネジメント(DSM)を積極的に推進するが、電力需要は年率2.1%で増加し、2029年には6,569億kWhとなる一方、最大電力も年率2.2%で増大し、2029年には1億1,193万kWになることが予測されている。なお計画期間中のDSMの効果は合計1,530万kWと予想されている。

こうした需要増に対応するため、政府は積極的に電源開発を行い、2029年の設備容量を1億6,387万kWにまで増強する計画である。電源の種類としては、石炭火力、コンバインド・サイクル・ガス火力および原子力を中心にして再エネも多数建設する予定である。

順調に開発が進めば、2029年には、石炭火力26.8%、石油火力6.2%、コンバインド・サイクル・ガス火力(LNG火力を含む)20.6%、原子力23.4%、水力2.9%、再エネ20.1%となり、石炭火力や原子力など従来型電源の比率が低下する一方、再エネの比率が増加する見込みである。

前述のとおり、2017年5月に誕生した文在寅政権は、同大統領の選挙公約に従い、現在、原子力発電所の建設中止などを検討しており、検討結果を作成中の「第3次・エネルギー計画」、あるいは同計画を基にした「第8次・長期電力需給計画」に反映する予定である。
 
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