3. 再生可能エネルギー導入政策・動向

普及遅れる再エネ電源

ロシアの再生可能エネルギー(再エネ)電源(2.5万kW以上の水力を除く)の規模は小さく、その数値は国内の公式統計でも詳細に扱われていない。国際エネルギー機関IEAのデータでは、2015年実績として地熱による発電量が4.6億kWh、太陽光・風力が4.8億kWh、バイオマス・廃棄物が28.2億kWhとされているが、これらの合計は国内総発電電力量の1%未満に過ぎない。

これまで、主要な再エネ電源の運転・開発は水力発電事業者のルスギドロ社が担当してきた。

このうち、カムチャツカ地方では3カ所の地熱発電所(パウジェツカ、ベルフネ・ムトノフスク、ムトノフスク:総設備容量は約7万kW)が稼働中である。風力では、ウスチ・カムチャツク(1,175kW)など複数の地点で運転中であるが、いずれも小規模である。太陽エネルギーについては近年、サハ共和国で1,000kW級の設備が運開しているが、多くは極めて小規模な設備である。

再エネ電源開発目標を設定

再エネ普及の遅れは、再エネ開発の経済性の問題や開発促進に必要な法令や支援計画などの未整備、開発に必要なインフラの未整備、資金の不足、などに起因するとされている。

2007年に電気事業法が一部改正され、再エネの定義や再エネ電源開発に対する政府支援制度が初めて織り込まれた。これを受けて2008年には再エネ電源の認定の手続きを定めた政府決定「再エネ電源に対する認定について」が採択され、2009年に再エネ開発目標とそのための政府支援策が盛り込まれた政令「2020年までの再エネ利用に基づく電気事業のエネルギー効率向上分野の国家政策の基本方向」(「再エネ開発基本方向」)が発表された。

この「再エネ開発基本方向」では、総発電電力量に占める再エネ電源(2,500kW以上の水力を除く)の発電量シェアを2010年に1.5%、2015年に2.5%、2020年に4.5%とする目標が示された。実際の導入実績は目標を大幅に下回っている模様であるが、これまでのところ、これら目標を具体的に修正する動きは見られていない。

一方、再エネの導入を支援するための制度も、2013年より開始されている。これは、風力、太陽光、小水力のそれぞれの電源について導入量の枠を定めて入札を実施し、落札した開発プロジェクトに対し、向こう15年間にわたって投資額の14%の収入を保証する仕組みである。同制度の下では、2020年までの入札枠として累計で風力360万kW、太陽光150万kW、小水力60万kWの導入が目指されている。
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