電気事業連合会

5. 電源開発状況

電源の中心は石炭火力からガス火力へ

豊富な国内炭を有する英国では、早くから石炭火力を中心とした電源開発が行われる一方、原子力発電にも戦後の早い時期から取り組んできた。1970年代の石油危機以降は、この石炭火力と原子力の増強が図られた。しかし、1990年からの電気事業の民営化や電力自由化によって、国内炭の使用義務から開放された電気事業者は、老朽化し採算に合わない石炭火力発電所を次々と廃止した。また巨額の建設費が必要な原子力は、投資リスクが大きいとして新規建設が見送られた。このような中、当時、廉価であった天然ガスを燃料とする発電設備の建設が大規模に進行し、その結果、石炭火力比率が減少し、ガス火力比率が大きく上昇することとなった。2016年には、発電量シェアでかつて70%以上あった石炭火力が9%にまで減少、代わってガス火力が42%にまで増大した(その他の電源のシェアは原子力21%、再エネ25%、石油、揚水等3%)。

今後の電源開発は、前述のように、低炭素電源である原子力や再エネにシフトすることになる。再エネの増大に伴い、需要に合わせて柔軟な運転ができるプラント(ガス火力等)も大量に必要となるが、設備利用率が必然的に低くなるこれらプラントへの投資が不足することが懸念される。そのため、これを回避するための投資インセンティブとして、「容量市場制度」(CM:Capacity Market)が導入されている(後述の「電力市場改革」に関する項参照)。

更新日:2018年9月30日

このページは、社団法人 海外電力調査会の情報をもとに、海外の電気事業についてお知らせするものです。

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