電気事業連合会

2. 地球温暖化防止政策動向

京都議定書目標は達成断念:2020 年目標達成に努力

カナダの京都議定書による温室効果ガス(GHG)削減目標は、2008~2012年に1990年比6%減と設定されたが、2007年、政府は達成不可能との見通しを公表した。実際、カナダは先進主要国の中でGHG排出量の伸び率が高い国の一つで、世界のGHG排出量の約2%を占める。2015年のGHG排出量は約5億4,900万トンと、1990年比31%増となった。このGHG排出量のうち、部門別シェアで見ると産業部門が51%と最も多い。続いて運輸部門32%、家庭部門7%、業務用部門7%となっている。産業部門をさらに細分化すると、発電部門19%、その他エネルギー・産業自家消費21%、製造業および建設11%となっている。

カナダ環境省は2015年5月15日、2030年までに2005年の水準を30%下回る温室効果ガス(GHG)排出量を削減する予定であることを発表した。2013年にカナダの経済は12.9%拡大した一方で、温室効果ガス排出量は2005年レベルよりも3.1%減少した。クリーン発電の世界的リーダーとして、カナダは温室効果ガスを放出しない電源が約80%を占め、世界で最もクリーンな電力システムを誇っており、今後も化石燃料による発電、化学物質や窒素肥料製造部門からの排出量を削減するとしている。

石炭火力での規制強化の方向

発電部門では、水力59%、原子力15%を合わせて発電の74%を占めるため、CO2削減の余地は少ないが、2020年までにゼロ・エミッション電源で総発電量の90%を賄うとする目標を設定している。その一環として、2010年、政府は、天然ガスコンバインドサイクル(NGCC)発電所を基準とする石炭火力発電のGHG排出規制・規則案を発表した。これは既存のすべての石炭火力発電所に対し耐用年数に達した時点でNGCC発電所と同等のCO2排出基準を義務付けるもので、基準を満たせない場合は閉鎖となる。同規則案は2015年7月に発効した。

更新日:2018年9月30日

このページは、社団法人 海外電力調査会の情報をもとに、海外の電気事業についてお知らせするものです。

カナダの電気事業へ

ページの先頭へ